今回は2024年10月25日より劇場公開された映画『がんばっていきまっしょい』を鑑賞して参りましたので、その感想レビュー記事となります。
まずは率直な感想からコメントします。
面白かったですね‼️
予告編から感じた「青春の香り」に期待値を高めにいきましたが、その期待に応えてくれる快作という印象に落ち着きました。
サプライズ的な要素は薄い作品でしたが、王道の青春ムービーとしていつの時代も色褪せない魅力を発揮してくれる!そんな作品であったと思います。
本記事では具体的に何が良かったのか・素晴らしかったのか語っていければと思います。
作品評価まとめ
まずは作品の全体的なスコアをご覧いただければと思います。
「サプライズ精神」以外の項目は軒並み高いラインを記録しています!とりわけ「映像・ビジュアル」の項目は限界突破の評価を下させていただきました。
サプライズ要素は控えめですね。予告編にないシークレットなストーリー展開もありますが、それほど驚愕する内容でもないので控えめな評価に落ち着きます。
作品の魅力:クールな少女に“熱”が宿る物語
本作品の物語が誇る魅力について語りましょう。
私がどうのこうの語るよりもこの汗を見ていただけたら伝わるかと思います。
予告編でも自分は中の中だと語り、何事にもやる気に欠ける印象を受ける悦ネエが額に汗を流して部活動に勤しむ姿こそ本作品の本質です。
本作品には他にも魅力的なキャラクターが多数登場します。その中でも最もクール属性な悦ネエがなぜ主人公なのかという疑問が映画序盤を見ていた自分には過ぎりました。
特に転校生として物語の推進剤を担ってくれているリーの存在を見ていると彼女の方が主人公として相応しいのではと勘繰ってしまいました。
しかし、映画を鑑賞し終えると主人公に相応しいのは悦ネエしかあり得ないと断言できます。
最もやる気に欠けていた悦ネエがリーとの出会いをきっかけに様々な体験をしてその瞳に輝きを灯していく物語には心を強く動かされます。
映画冒頭とラストで最も人間的に成長を遂げたのは間違いなく悦ネエだったのだから。
見て下さい!
この陽焼けした姿を。
色白だった彼女がここまで焼けているのに驚きを隠せません。
というか白状します。映画本編を見ていると陽焼けがあまりにも自然な変化過ぎて肌の色の変化に気づけなかったです。このブログを執筆している素材集めとして予告編を視聴していたら肌のこんがり具合に気づきました。
少し話しが逸れましたね。失礼。
色白であった悦ネエがここまで部活に情熱を燃やすに至る「何か」がボート部にはあるのです。それを悦ネエがどのようにして見出すのか。そのプロセスが本作品の魅力です。
最もやる気に欠けていた悦ネエがその何かを見つけるという文脈に主人公らしさを感じます。その見つけつプロセスも等身大の女子高生らしいもので、生っぽい魅力が秘められています。
作品の魅力:映像・ビジュアル
本作品は愛媛県を舞台としています。
そのロケーションを活用した映像美はどれも印象に強く残る。
また、キャラクターへの描写として「フェチズム」というか「チラリズム」のようなこだわりを受け取ることができました。青春スポーツ映画としてセクシー路線に舵を切ることはできないけれど、可能な範囲でサービスショットを届けようとする制作サイドの意地・心意気みたいなものにグッとくるものがります!
夕焼け期の妖しさと美しさが同居するシーン。
水面の揺れ動きを捉えたシーン。
私は愛媛県に足を運んだことないので、今回の映画を見ていると愛媛の名所や自然を味わうことができて旅行気分を体験できたように思います。
本作品は妙にスカートの内側へのこだわりを披露してくれます。
なんでもない場面でチラリと覗かせる太腿とスカートの裏生地。本筋とは無関係なのに妙に印象に残る。制作を受け持った「株式会社萌」や演出陣のこだわりだと受け取りました!
こういった普通の電車内の座席シーンでも確認できます。映画館の大スクリーンだとすごくわかりやすい!目に飛び込んでくる!
普段アニメを見ていてもこういったチラリズム的演出は滅多にないので余計印象に残ります。
露骨な見せ方よりも上品で私は好きです!
このままフェチズム・チラリズムを語ったままだと何だか私が変態みたいなので最後に浴衣美人のイモッチで締め括らせて下さい。
やはり、普段ロングストレートの女性が髪を結っている姿というのは素敵ですね!
・・・カモフラージュできていない気もしますが、まぁ良いか。
作品の魅力:芸の細かい「ローイング」描写
映画序盤、悦ネエを除くメンバーはオールを漕いだ経験の浅い初心者ばかり。
オール捌き=ローイングがイマイチなのは当然として、漕ぐタイミングがバラバラなのが視覚的にも明らかでした。
4人全員がチグハグなタイミングでオールを操作しているという地味ながら重要なCGワークは作品の丁寧さを象徴していました。
上記画像の場面ですと足の曲げ方も異なっていることがよくわかります。それだけ身体全体の扱い方が未熟であることもわかりますね。
感想:名場面3選
さてここから先は少々ネタバレを含んで内容をテキストしていきますので⚠️ネタバレNGの方はご注意ください。
作品の魅力のところで結構名場面と呼べるシーン画像を活用してしまっているので少々コメディよりなセレクションとなっていますが、ご了承ください。
【テンポが良い!】喫茶店からのやる気MAX展開
この映画で一番好きなシークエンスです!
喫茶店でお好み焼きを食していた一同の前にライバルとなる他校の選手が現れるという王道の展開。
そこから流れるように小さな火花がスパーク。梅子の発言に火が付いた4人が睨みを利かせ、次のカットに移ったら「やるしかない」と闘志をメラメラ燃やすリー・ダッコ・イモッチ。それに応えてしまう悦ネエ。
小気味よく流れていく脚本&編集のテンポが心地良い!
ヒメのユニーク発言
9月の夏祭りに男子である二宮を誘うヒメの発言が非常にユニークだった!
学校の下駄箱でエンカウントしたヒメと二宮。自然なノリで夏祭りに誘うヒメの言葉に対して「女4人に対して男は俺だけ?」とレスポンスする二宮。そんな彼の疑問に対してヒメが出した言葉が
「こんなチャンス、人生最後かもよ」
正確に記憶できている自信がないので、多少時間フレーズだったかもしれないが大体こんな意味の言葉だったはず。
間髪入れずにここまでエッジの効いた発言を繰り出せるのは素直にすごい!
ヒメのユニーク発言 PART2
合宿としてダッコ宅にお邪魔することとなった一同。
ダッコの自室に足を運んだヒメが発した言葉が強烈でした。
「ここ誰の部屋?」
既にダッコが自分の部屋だと紹介していたのにも関わらず何も屈託のない表情で疑問を投げかけるヒメ。
これは笑いを堪えるのが厳しい場面でした。
ヒメの問いに
「私の部屋だよ!さっき言っただろっ」
とキレ気味で言い返すダッコを含めて素敵な場面でありました。
余談:作中の時代設定が判明するタイミングが“粋”
本作品は1998年に実写映画化しているタイトルのアニメ化。
ドラマ化もしているとのことで3度目の映像展開ですね。
気になるのが作中の時代設定。原作のままの時代設定ならば映画と同じ1998年になるはず。
で、実際に鑑賞して分かったのが本作品はスマートフォンが普及している現代であること。
その時代設定が判明するのが映画の中盤あたりになってやっとという具合。私はこの時代設定が判明するタイミングが粋だな〜と感じました。
映画の前半あたりは現代的なガジェットの出番が全然ない等、時代設定が釈然としないまま物語が進行していく。これが狙ったものかはわかりませんが途中までは現代でも1990年代末でもどっちでも成立するように作っているように感じました。そして、いざスマホが登場してきても文明の力を有効活用するような作劇は訪れない。
この現代ガジェットを活用しないという作劇の姿勢に原作小説の時代感を可能な限り残そうとする配慮が感じ取れて素敵だな〜と思ってやまならないのです。
終わりに
今回は映画『がんばっていきまっしょい』をレビューしました。
素晴らしい青春ムービーでした!
3DCGアニメ映画は大好物ですし、青春に情熱を注ぐ真剣な姿を見れる作品も大好物なので非常に満足です!
原作を知らなくても0から楽しめる作品なのでより多くの方の目に触れることを願っています。
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