作品評価【SS+】
上映時間3時間というハードルを如何にして本作が乗り越えたのか解説。
質と量!両面で観客を殴りに来るミュージカルを武器にキャラクター関係の変化で観客を揺さぶるストーリーも素晴らしかった3時間の映画体験をご紹介。

おはようございます。毎月5〜8作品ほど鑑賞するために映画館に赴く。
ブログ管理人のあーさんです。

今回は2025年3月7日より劇場公開された映画『ウィキッド ふたりの魔女』を鑑賞して参りました。
それほど期待していなかったのですが、その想いを良い意味で裏切ってくれた良作品です。
あえて期待値を下げるスタンスをしているので、こういったことはしばしば経験しますが本作はその中でも指折り級の裏切りでした!

本作の期待値を下げた要因はなんといっても上映時間。
その時間、約3時間。本編と劇場のスポンサー広告・映画予告編・エンドクレジットを含めての時間ですがそれでも長い。その気になれば2作映画を見ることができる。
これは期待値下がっちゃうな。。。
そんな想いを抱いて早朝より身支度をして映画館に向かった私ですが、映画鑑賞後はニッコリ笑顔😄

本記事では何が私を笑顔に変えてくれたのか。
3時間というあまりにも巨大な敵に立ち向かい打倒してくれたヒーローをご紹介していきます。
それではレビュー&プレゼンスタート!
好奇心を刺激する導入パート

まず映画のイントロ部分。ここでいきなり映画に心掴まれてしまったといっても過言ではない。
導入は緑の魔女と決着をつけたグリンダが凱旋するところから始まります。
いきなり後日譚。
てっきり順序に沿って大学生活から始まると予想していただけに不意打ちを喰らった気分。
散々映画の予告編でグリンダとエルファバの親交を目の当たりにしていたのもあって、グリンダが緑の魔女=エルファバを打ち倒した事実報告の場面に面食らってしまった。

そうなると考えてしまうわけです。この映画で語られるのは予告編で見まくった学生編と討伐完了に至るまでのプロセス全てが味わえるのか・・・と。
尺は3時間近くある。可能ではある。
これは興味関心スイッチがONになってしまう!
続編ありきの作品なのか!?

その後タイトルクレジットが訪れるのですが、ここでさらに驚く。
WICKED PART1
邦題と違うじゃないかっ!?しかもPART1!?
PART2とか3に続く可能性があるのか!?。
と、こんな風に開幕10分足らずで情緒をかき乱されてしまった。こうなると今後の展開が予測不可能になって映画鑑賞が最高の体験に化けます。未知との遭遇。それこそ至高の映画体験。
【2次点火】ミュージカルのラッシュ、ラッシュ、ラッシュ

さて凱旋後のグリンダの回想形式で本編が幕を開けます。
導入部分をロケットの1次点火とするならば、ここからはさらに加速し宇宙へと至るまでプロセス。
2次点火と呼べるような推進剤に着火が起きます。
本作の推進剤はミュージカル。
学園生活に突入してからほとんど休む間もなくミュージカルが挿入される。

そのどれも素晴らしい品質。質と量、の力技で観客に飽きを与えない映画のターンが続く。
その中でも私の感性にブッ刺さったのが図書室でのミュージカルシーン。
一般的に図書室といえば静寂に満ちた空間でしょう。
しかし、本作はその空間をミュージカルの最高の舞台に変質させた。ホール型の本棚がぐるぐる回る構造を活かしたアクロバティックなミュージカルパートは目が釘付けになる。
そのミュージカルのセンターを務めたキャラ:フィエロの歌唱も圧巻で、ハンサムでキザな男の口上とダンスで彩られる図書室は本作屈指の名場面と言える。
【さらに加速】3つのターニングポイント
イントロ、ミュージカルラッシュ。
これだけでも本作に心を鷲掴みにされていた私に更なる映画体験が襲いかかる。
物語が急展開するターニングポイントがやってくるのです!
転換点1:ガリンダとエルファバの関係性(⚠️ネタバレあり)

本作のストーリーについて軽く触れましょう。大学入学を機に出会うガリンダ(まだグリンダではない)とエルファバ。2人はひょんなことでルームメイトとなる。だが正反対な2人は相性最悪。幾度となく衝突する様がミュージカルを通じて描写される。
そんな2人の関係に転換点が訪れる。
王子フィエロの転入をきっかけに起きるナイトパーティー。そこに悪戯心でエルファバを誘うガリンダ。
緑の肌をもつエルファバは友達などおらずオシャレにも疎い。そんな彼女が陽キャだらけのパーティーに足を踏み入れたら。。。愉快とは程遠い展開が待ち受けているわけです。
だが、その場から逃げ出さずに1人でダンスをするエルファバ。それを目にしたガリンダは取り巻きの制止を振り切りエルファバとのダンスに興じる。
このダンスパートはそれまで続いた派手で色彩豊かなミュージカルと逆方向を行く。地味だし踊っているのは2人だけ。だが、観客の心に最も残る名シーンであったと断言できる。
孤独であったエルファバに初めて心寄り添う友ができた瞬間だから。
転換点2:動物の状況悪化(⚠️ネタバレあり)

ミュージカルだけが本作の魅力ではない。
作品が観客に伝えようとしているメッセージ性も心に刺さるものがある。
本作は差別をテーマにしています。作中の差別対象の筆頭格に言葉を話す🐐動物たちの扱いがスポットライトを浴びている。
詳しくは言及しませんが、物語の中盤あたりでその差別が深刻化する展開が訪れます。
それを目の当たりにしたエルファバが能力を開花させたりという意味でもターニングポイントだが、エルファバと王子フィエロの関係性が近づくという観点で注目するシークエンス。
フィエロはガリンダのボーイフレンドなのだが、この一件をきっかけにその関係性が様変わりしていき物語がより複雑になっていく。
ドラマというのは人間模様の変化で彩られていく。作中のTOP3であるガリンダ・エルファバ・フィエロの関係性が混沌化していくことで、一層作品のゴールが見えなくなり面白さが増していくのです!
転換点3:エメラルドシティ(⚠️ネタバレあり)

本作のクライマックスシークエンス。
国王がいるエメラルドシティへ招待されたエルファバ。予告編であったように招待されていないけど一緒に来たグリンダ。
大学の地から憧れたいたエメラルドシティに訪れて舞い上がる2人だが、その期待に反して国王が掲げる国策に触れてしまう。
それはエルファバがどうにかしなくてはと抱いていた問題=動物たちの居場所について圧政を進めるのが国王本人であったという事実。
この事実を知ったエルファバは国を敵に回してでも動物たちの味方になる道を進む。
ここまで来るとエルファバが国を敵に回した悪い魔女扱いを受けているのにも納得。
エルファバはグリンダと共に逃げようと誘うもグリンダは首を縦に振らない。2人の関係はどうなってしまうのさ!?と気になるが、衛兵たちに追い詰められてグリンダは拘束されてしまう。エルファバだけが逃げ延び、物語は次回へ続くと宣言されエンドクレジットへ突入する。
続くのかいっ!?・・・と、ツッコみたくなるが、十二分に作品を堪能できてしまったので文句のつけようがない。
エルファバ・グリンダ・フィエロ。この3者の関係がどのような決着を迎えるのか気になって仕方ない。クリフハンガー的な終わり方ってずるいですね。
まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は映画『ウィキッド ふたりの魔女』をレビュー致しました。それほど期待していなかったのですが、期待に反して非常に楽しめた作品です。
本記事では期待値を下げた要因=3時間の上映時間に対して映画製作陣が観客に施した仕掛けをピックアップしました。
軽くまとめてしまいましょう。
好奇心スイッチをONにするイントロ

まず映画を最初から最後まで乗り切るために観客の心を掴まねばなりません。
そのために製作陣が仕掛けたのは緑の魔女討伐完了から始まる冒頭でした。予告編で披露したグリンダとエルファバの親交を裏切るような展開に衝撃を隠せません。
加えて邦題によるミスリードも良い方向に作用したと言えるでしょう。PART1と最初から知っていたら受けたインパクトも半減すること必死でしょうし、今回は邦題に拍手👏(たまにやらかす邦題もある)
幾度となく点火する加速装置

本作はその長尺故に中弛みの危険が高かった。
だが、ミュージカルのラッシュという力業でそれを回避。大作映画ならではのアプローチと言えるが、実際に映像をご覧になった身であれば金だけの力で実現したとは言えない。
役者陣・美術スタッフ・演出スタッフ・etc。
映画関係者の総力によるミュージカルシーンは圧巻の一言に尽きる。

その中でもハイライトと言えるのが、図書室を活用したミュージカルシーンとそれに続くないとパーティーでのダンス。
対極的な2つのミュージカルシークエンスのコンボは観客の心にクリティカルヒットする破壊力を秘めています。
どちらか一つだけでもハイライトたり得るのに連鎖させる構成を選択しているのだから天晴れと舌を巻く。

それでは今回は以上となります。
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ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。またのご縁をお待ちしております。
2025年3月注目映画6選

2025年3月は6作品ほどの映画に注目しています。
『ウィキッド ふたりの魔女』
『この素晴らしい世界に祝福を!3ーBONUS STAGEー』
『白雪姫』
『ネムルバカ』
『ミッキー17』
『BETTER MAN』
こちらもレビューする予定です。


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