【スタントマンへのラブレター✉️】フォールガイ 感想レビュー

映画「フォールガイ」感想 映画

おはようございます😊映画レビュアーのあーさんです。

今回は2024年8月16日より公開された映画『フォールガイ』字幕版を鑑賞しましたので、そのレビュー記事となります。

まずは率直な感想を申します。

めっちゃ面白い!!!

この映画にはスーパーパワーは存在しないし、作品の規模もとてもスモールで「世界の危機にうんたらかんたら」とかそういう類の映画ではないです。身体を張ってお金を稼ぎ、時には文字通り命を落とす危険性があるにも関わらず映画界を牽引するハリウッドにおいても未だ特別な賞の枠を設けられていない日陰者となる職業スタントマンにスポットライトを浴びせまくった快作!

監督を務めるのはデヴィット・リーチ。『ブレット・トレイン』で主演ブラッド・ピットを絶妙に冴えない男として演出した男が、今回はライアン・ゴズリングを絶妙な匙加減で落ち目の男として描きメガホンをとっています。

いやもう上映時間2時間もの間あのライアン・ゴズリングが身体張ってボロボロになり、時には情けなく怯えたりして最高なんですよね。スタントマンという日陰者の職業として生きる男を身体全身で表現しているのは流石の一言に尽きます。

前置きはこのくらいにしてそろそろ本編レビューへと参りましょう。なお、ネタバレ有りとなるのでご注意ください。

クレジットされることなき盟友=スタントマンの妙技が濃縮された映画


この映画にはスタントマンが持つ数々の妙技が詰め込まれています。

  • カーチェイス
  • カージャンプ
  • キャノンロール
  • 超高所からの落下
  • ハイフォール
  • 殺陣=ファイトアクション
  • 全身に火をつけられるファイヤースタント
  • ワイヤーに吊るされて飛ばされる

ここに羅列したもの以外にも数々の人間離れした技を持ち危険なアクションを安全に実行するプロフェッショナルと言えるスタントマンのエッセンスが『フォールガイ』には詰まっています。

観客にワンダーを引き起こすスタントマン達の姿

スーパーパワーとかが存在しない映画だけど彼らスタントマンが持つ技の数々がこの作品をバラエティ豊かに彩ります。時に肉弾戦で巧みなアクションを披露し、時にカーチェイスで車と車での駆け引きが勃発し車上でも対人格闘戦が発生したりと様々なシチュエーションでバトルが発生する。異なるロケーションはその場その場で扱える武器が異なる変化を生み出し主人公コルト・シーバースが様々な状況下でどうやって困難を潜り抜けるのか観客に想像させるワンダーを生み出す

特に印象に残ったのは身体を椅子に縛られ身動き取れないという絶体絶命の状況下で身体に引火性の液体(多分ガソリン)を掛けられるシーン。どうやってこの状況を打開するかとこちらが思考を巡らせていると主人公は情けなくヘルプ、ヘルプと叫ぶばかり。しかも叫んでいるせいで口に液体を入れられる始末でもう手の内ようがないと見ているこちらが諦め悪人が火をつけようとする。その時、コルトは口に含んだ液体を毒霧の如く噴き出して悪人の手元の火を利用して火炎放射のように悪人に火を吹きかける。その後、混乱する悪人どもを尻目にその場を立ち去りコルト。

いや〜このシーンはスリル満載で最高でしたよ。状況の切迫感情けなく叫ぶコルトの描写も相まってもうダメだーと思い込んでからの逆転劇。

このシーンを境にそれまでやられる側だったコルトが敵の悪事を白昼の元に晒すべく攻勢に回っていくのでこの映画のターニングポイントと呼べるシーンとなっていたのも相まって火を吹くシーンは大変お気に入りです。

【キャラクター】親近感が湧くコルトのキャラクター造形

本作はラブストーリーの側面もあります。主人公コルトを突き動かす原動力となっているのは元カノとなるジョディへの未練たらたらな恋愛感情。このとても親近感湧く行動原理が作品と観客の距離感を縮める効果を生み出しているのが心地良いですね。

スーパーヒーロー映画とかなら主人公は正義感を原動力に動いてくれた方が観客は彼らへの憧れという感情で視聴を続行できます。この映画でコルトにスーパーヒーロと同じ理由で行動されても作品のスケール感とミスマッチで最後まで楽しく見ることはできなかったと思います。

【物語】前半ミステリー、後半アクションメガ盛り。

本作の物語は大きく分けて2つのターンに分かれます。

前半戦:失踪した主演俳優トム・ライダー捜索
後半戦:コルトを罠にはめたゲイルとトムの悪事をばらすための大掛かりなスタントバトル

前半はミステリー要素多めアクションも多め。後半はミステリー要素0、アクション爆盛りという印象。

前半と後半を繋ぐコルトの行動原理

前半と後半でカラーの異なる作品となるが、1本の映画として支離滅裂にならないためにコルトの行動原理が全てジョディのためとなっていたのは賞賛すべきポイント。このおかげでミステリー要素を孕んだ開幕からミステリーの正体が明かされた中盤以降も作品の軸がブレなかったのは大変素晴らしい。ミステリー要素は物語を始動させる起爆剤であって作品の中核に根ざすテーマではない。主人公を突き動かすのは元カノへの未練たらたらな恋愛感情でコルトは終始ジョディの監督デビュー作の成功を祈って行動している。ミステリー要素が解明されたのちもその行動原理が腐ることなく機能していたので観客が迷子にならず最後まで視聴を続行できたのが良かった!

ミステリーの正体が判明した後、この作品の真骨頂と言えるスタントチームが輝くターンが回ってくるのが気分爆上げ!今まで騙す側だったゲイルとトムをコルトとジョディらが罠を仕掛ける展開は見ていてとても気分が良かった。

まさに痛快!

カージャンプ。爆破のオンパレード。ヘリの脚部から反対の脚部へ移るジャンプ。どれもこれも絵的にもド派手だし、それまで敵サイドとして余裕をかましていたゲイルとトムが慌てふためく様はこれが見たかったと言いたくなる絶妙な表情の数々を披露してくれていました。

敵役達が慌てふためく姿も最高だし、ド派手に使用される火薬の数々がスクリーンを爆破で埋め尽くしていくのは景気の良さを感じてテンションが上がっていきます。

始まりと終わり。高所からの落下スタント

コルトが一度スタントマンから退く事故のきっかけとなった始まりのスタントアクションと映画ラストのコルトとトムとゲイルの3人が録音テープを奪い合う乱闘の幕を引くことなるコルトがヘリから落下するスタントアクション。

ロケーションこそ違うけれど超高所からの落下という同じスタントアクション。

はじめりと終わりが同じというのはやはり美しさを感じます。それに加えて通常のアクション映画と異なり悪役を打ちのめして決着ではなく主人公コルトが敵から重要アイテムを奪取してスタントアクションで逃げるという文脈にも美しさを感じます

彼らスタントマンは決して武力を武器とするものではない。タフな肉体と安全に配慮するプロとしての姿勢・技術こそが真の武器。

コルトが最後落下を選択できたのはスタントチーム全員がコルトが落下しても大丈夫なようにエアクッションを準備していたからこそ。また、コルトがチームを信頼していたからこそ命綱なしの高所落下ができたのだと思います。

スタントマンへの敬意溢れる映画ですけどこのラストスタントが敬意に満ち溢れていたシーンNo.1だったと思います。

終わりに

今回は映画『フォールガイ』字幕版をレビューしました。

間違いなく快作です。難しい設定や複雑な人間関係などなく誰にでも見やすいエンタメ娯楽映画として太鼓判を押させていただきます。

ラブストーリーあり、ミステリー要素あり、アクションメガ盛り!何より映画界を陰で支えるスタントマンへの敬意に溢れまくった作品!!

この映画をきっかけにスタントマンの方々の地位向上に繋がってくれたらと切に願います!

それでは今回はこの辺で👍

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