おはようございます😆映画レビュアーのあーさんです。
今回は2024年9月27日より劇場公開された阪元裕吾監督作『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』を鑑賞して参りましたので、その感想記事となります。
鑑賞前日に過去2作品をU-NEXTで予習した上で臨みました。同時期に放送しているドラマの方もU-NEXTで視聴できたのですが、そちらは時間的に厳しかったので未視聴となっております。
映画過去2作品ともに素晴らしく、XでのTLで第3作目の評価が上々ということもあって期待値高めで見に行きましたが、その期待に応えてくれる傑作映画でした。
今作品のMVPは池松壮亮さんで決まりです!!
見事な敵役を全身全霊で全うしていました。ここまでアクションの出来る方だとは存じていなかったので、池松さんの凄さを堪能できる素晴らしい映画体験でした。
今回の記事では映画の何が素晴らしかったのか述べていこうと思います。
前半は評価について。後半はネタバレを含んだ作品内容に触れた感想となっておりますのでよろしくお願いします。
【評価まとめ】スコアシート公開
まずは全体の評価を一まとめにしたシートを用意しましたので、そちらの方をご覧いただけたらと思います。
このシート1枚でこの記事で伝えたいことが網羅的に把握できます。
非常にハイスコアです!
各項目10点満点で採点していますが、限界突破して11点・12点を刻んでいるところが合計4ヶ所もあります!
以下は、その高評価ポイントについて詳しくコメントさせていただきます。
高評価ポイント①キャラの魅力
今回、新キャラとして登場した冬村かえで(演:池松壮亮)がこの高評価の最たる理由です。
過去作から引き続き登場するレギュラー陣や他の新キャラクターらも個性的で魅力的でしたけれど冬村かえでのキャラクターパワーは特筆すべき事項です!
サクッと冬村かえで及び演じた池松壮亮とのマッチングを図で表現したものが上記のものとなっています。
なんといってもそのサイコパス性とアクション技量のずば抜けっぷりが作品のクオリティ向上に大きく貢献。この男が敵として登場することで過去2作とは異なるステージでの決戦が見れます。
彼のキャラクター性を象徴するサイコパス成分は作中終始絶えないのですが、人間性らしさを感じられるところも複数場面確認できて非常に奥深い人物造形となっているキャラです。
それをアウトプットする池松壮亮さんの表現力・演技力があってのものなのでキャスティングを担ったスタッフにはよくぞこの方を採用してくれたと感謝の意を伝えたい!
高評価ポイント②芝居
役者の演技力に関しては出演者皆一級のラインと言って良かったです。元AKBの前田敦子さんを見た時は役者のイメージがないので心配でしたけれど、全く問題なかったですね。
小言が多く嫌味がオープンになっている癖のあるキャラクター:入鹿みなみを見事に演じてらっしゃいました。
主演を務めた高石あかりさん・伊澤彩織も過去作品に引き続き魅力的に主役を全う!流石、座長です!!
そしてなんと言っても池松壮亮さんですね!彼の存在が作品全体の芝居クオリティを底上げする影響力を発揮していたのではないかと言えるほど常人離れした冬村かえでを見事に表現し切っていました。
高評価ポイント③舞台・ロケーション
今回のメイン舞台となった地は宮崎県某所(具体的な地名はわからないです)。
過去2作が東京を舞台にしていたので、宮崎のどこか南国チックな風景が作品に新鮮な彩りを与えています。
戦場となるロケーション選びもどこも個性的!役所や廃墟など過去作とは異なるロケーションを採用してくれたことは過去作を知っているものにとって既視感がやってくるのを防いでくれて作品の真髄であるアクション・殺陣に集中させてくれる効果があったように思えます。
高評価ポイント④美術・衣装デザイン
特別な衣装とかは登場しないのですが、なんと言っても本作品は血糊の出番が非常に多い!
弾丸やナイフで受けた傷口から流れる流血表現・衣類への返り血などの表現は卓越しており作品のリアリティを底支えする重要要素だったので高評価に値する項目であったと感じました。
高評価ポイント⑤アクション・殺陣
本作品は日本最高峰のアクションが見れたのではないかと思っています。
いやもうすごいですよ(語彙力)
役者の顔が確認できるノンスタントの場面も多数あり、それがどれも高水準!動きの切れ味・モーションの美しさ・ダイナミックな画面構図・役者の動きに合わせて聴こえる徒手空拳が空を切る重量感などあらゆる要素が見事にシナジーを起こし最高の殺陣を実現しているのです‼️
これをやってのけた役者陣・アクション監督・スタントクルーの皆さんに脱帽です!
【感情指数】映画鑑賞中の感情・高揚感の揺れ動き
こちらの線グラフは映画鑑賞中の私の感情・心の揺れ動きを示したものとなっております。
チャプターの区分は完全に独断です。コメントはネタバレに配慮していますのでこれだけ読んでも内容はわからないように意識しております。
肝心な線グラフについてですが、総じてテンション高めをキープし、上がるところで大きく上昇しているのがわかると思います。
特にアクションのあるパート・冬村かえでについて理解が深まるパートで大きく上昇している傾向ですね。
感想(⚠️ネタバレ注意)
さて、ここから先はネタバレを含んだ感想コーナーとなっておりますので、ネタバレ御法度・NGの方はご注意ください🙇
W主人公の成長ではなく「成熟」を味わえる物語
本作品の主役は「殺し屋」という設定なので成長要素は薄い。成長要素が薄いというのは映画・ドラマ・あらゆる物語において不利に働くのですが成長の代わりにW主人公の関係値が成熟していく様を描写することで見事に補っているように思いました。
ちさと&まひろ。この二人の信頼関係は既に過去作の時点で完成しきっています。それでもその関係値に限界がなく🍷ワインや🍺お酒のようにどこまでも熟していく間柄なのが美しくエモ味を感じます。
二人がまだ20歳そこそこということも関係性の成熟をアシストする脚本になっていて、本当に上手くW主人公を調理している脚本だと感心してしまいます。
出てくるだけで面白い‼️実家のような安心感を与えてくれる田坂さん
本作の舞台が宮崎ということで田坂さんの出番はどうなるんだ!?と心配している自分がいました。
しかし、そこは監督を信頼していれば良かったというオチ。
ち ゃんと出番がありました。
- 相変わらずの睡眠不足
- メジャーを幾度も弄る手癖
- 独り言の多さ
- 宮内さんとのナイスバディ
これこれ!これが見たかったというものがラッシュのように披露されるシークエンスは安心感とユニークさが共存していて見ていてとても心地よい時間でしたね!
第2作を見ているとニヤリとできる台詞を飛び出してきたこともGOOD👍
【怪演】池松壮亮の圧倒的アウトプット力
本作品のクオリティを1次元上に上昇させた張本人:池松壮亮さんについて語らせてください。
いや〜すごいんですよ!
冒頭から拳銃を持ち・殺し屋としての仕事を終えた場面で少年にその姿を目撃されてしまった時の緊張感ときたら出だしで観客の心を鷲掴みする完璧な采配で、池松さんの表情がミステリアスというか心境が読めない複雑な表情なのも素晴らしい。この時、登場した少年がどうなったかはネタバレNG事項だと思うので映画本編でチェックしていただきたい。
冬村かえでというサイコパス性と人間性を併せ持つ複雑なキャラクターは物語が進むごとに徐々に明らかになっていき、その狂人っぷり・日記を録る几帳面な一面・殺し方に評価を下す向上心があるとも神経質とも取れる一面・人間的な弱さなどが同居するキャラクターを演じられるのは池松さんしかあり得ないと思わせる演技力は凄まじかった。
そして、なんと言ってもその卓越したアクション技量。一挙手一投足に無駄がなく研ぎ澄まされたアクションの数々は映画ファンだけでなく多くの方に見ていただきたい!銃捌き・ナイフ捌き・格闘術の構え・筋肉の扱い方・あらゆるアクションに関わる要素が圧倒的高水準な領域に達しています。
日本の役者でここまで出来る方がいるとは嬉しい限りです!
2作目の株を上げつつ、そのハードルを乗り越えるクライマックスバトル
本作品のアクションパートはどれもハイクオリティでしたけれど、クライマックスの決戦はその中でも飛び抜けていました。
こちらもネタバレ御法度な領域だと心得ますので、あまり内容には触れずに軽くコメントを残しておきます。
この最終決戦の場面でお互いに相手の強さを認めたまひろと冬村かえでがこれまで戦ってきた相手の中で誰がランキング1位であったかを語り合う。そこでまひろの口から出たのは第2作のバイト兄弟の存在。まひろは一番強かった相手はわからないと言いつつも、一番楽しかった相手ならわかるといい第2作のメイン敵役である二人の存在が口にされるのです。
ここで第2作目の株を上げてくるかぁと感心してしまいました。
そして、上げた株を乗り越えるような激戦が披露されます。
役者のアクション・カメラワーク・被写体を捉える画面の構図・アクションに付随するサウンドの重量・全てが有機的に噛み合い化学反応を起こし邦画史上最高峰と言っても過言ではない殺陣は圧巻です
【残念だった点】過去2作にあった日常と戦場の境界線が曖昧だったことで生まれる「緊張感」は薄かった
最後にここまで絶賛してきましたが、1点だけ過去2作に見劣りする部分があったので意見を述べておきます。
過去2作品では日常と血生臭い戦場が隣り合わせで双方の境界線が曖昧という魅力を持っていました。
- 1作目:ヤクザの親父とその息子がメイド喫茶を訪れるシークエンス
- 2作目:定食屋でバイト兄弟とちさと&まひろが居合わせるシークエンス
それによりいつ死合いが始まるのかわからない緊張感が劇場を支配するというスリリングな体験をできたのでしたけど、今作ではそういった緊張感が張り詰める場面が印象に残っていないのですよね。
ガンアクション・徒手空拳といった殺陣に並んで『ベイビーわるきゅーれ』の最たる魅力の一つであったと感じていたので、その魅力が3作目には感じられなかったことは少々残念です。
終わりに
今回は阪元裕吾監督作『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』をレビューしました。
分析しがいのある傑作アクションムービーでしたね。
邦画の悪いところなんて一切なく、邦画でもこんな凄い作品作れるんだぞと監督からメッセージを受けたような素晴らしい映画体験でした。
割と過去作を予習していなくても楽しめる作品になっていますので、是非とも多くの方に鑑賞していただきたい作品です。
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