【コミックレビュー】君のことが大大大大大好きな100人の彼女 第6巻

君のことが大大大大大好きな100人の彼女 COMIC

負けヒロインが存在しないという作品を実現する!
というミッションを遂行している漫画『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』。今回紹介するのはその第6巻。この巻でメインヒロインが11人に到達!皆、非常に個性的なキャラクターに溢れています。

ここで疑問です。「負けヒロイン」とは一体何のでしょう?
主人公と結ばれないヒロインのこと?それとも別の意味も含まれている?

人それぞれ答えが異なりそうではあります。しかし、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』はその模範解答を示してくれました。

この記事のコンテンツは上記のようなラインナップ。
まずはストーリー紹介。ストーリーというよりは新キャラ紹介と言った方が正しいかも。
お次に作品レビュー。ここで、がっつりストーリーに触れつつ読書して得たインプレッションをお伝えします。
最後にレビューをまとめて作品の魅力を総括してお届けいたします。

以上の流れで「負けヒロイン」とは何ぞや?という疑問に一つの回答を示していきたいと思います。

それでは前置きはこれくらいにして、本編へlet’s go!

それではチャプター1。簡易的なストーリー解説と新キャラ紹介です。ここではネタバレ成分は控えめに進行していきます。

完全再現とはいきませんが、第6巻の目次を再現するとこのような感じ。
第42〜43話はちょっと深刻なエピソード。薬莉の薬を複数飲んでしまった羽々里が🌏地球規模の災害を起こす。そんなお話。

第44話は胡桃と羽々里がメインのお話。第4巻の表紙コンビ回ですね。アニメで放送できるのか怪しいラインを攻めてくる。テクノロジーと財力を活用して読者に笑顔をお届けするとても100カノらしいユニークな回です。

第45話以降はレビューの方で詳しく触れていきます。

今回、恋太郎とビビーンしたのは1名。

高等部1年生の華暮愛々ちゃん。
彼女を象徴する属性は目隠れ。2025年1月現在。刊行済みのコミックス20巻に至るまで1度もその瞳が読者の前に姿を現したことはありません。その瞳を見たのは恋太郎と一部の恋太郎ファミリーのみ。

その徹底した目隠れ属性を維持する姿勢は読者の想像を絶するレベルで、初登場エピソードから全力全開。🌪️強風が襲おうとも必ず前髪を死守たとえスカートが風で捲れても前髪優先。恥ずかしがり屋さんなのにアンダーウェアのガードはお留守気味なのが面白い!

それではこれよりチャプター2に突入です。ここから先はがっつりネタバレゾーンに踏み込んでいきます。ご注意を。

まずはネタバレなしのレビューを。作品の評価はSSS+とさせていただきました。
作品テーマと向き合い、シリアスさを交えつつも100カノらしい笑いに溢れる作劇が味わえる第6巻。超高評価に値します!

まずは新ヒロイン:華暮愛々ちゃんが恋太郎ファミリーと親交を深める隠れんぼ回をレビュー。
第46話が該当します。

恥ずかしがりな彼女は「ミスディレクション」という特技?を有しています。極度の羞恥心を感じるとその場に相手の視線を誘導する編みぐるみを置き、自身が瞬時に姿を隠す。並外れた身体能力がないと出来ない芸当を実行できるのが華暮愛々ちゃん。

そんな彼女の個性を活かせるアクティビティとして恋太郎ファミリー全員(11名)で校内隠れんぼをやるのが第46話。

このエピソードはキャラクターの組み合わせが発揮され、恋太郎ファミリー内のでカップリングがよく確認できるのが嬉しいポイント。

その代表格とも言えるのが、羽香里と唐音。なぜか2人して同じ跳び箱の中に隠れる。中に2人も収まれば当然狭い。ギチギチです。そうなったらあんなところやこんなところが触れ合うわけで・・・。

2人のイチャイチャっぷり?が堪能できて素晴らしい限り。

もう一組ご紹介。静&凪乃。こちらも屈指のカップリングです。図書室の奥の部屋に隠れることにした静ちゃん。当初凪乃は別の場所に隠れるつもりでしたが、暗く狭い場所に隠れることを選択した静ちゃんが怯えているのを感じとり同じ場所に隠れることを選ぶ。

尊い!

あの感情に疎い凪乃が友人の感情の機微を察しているのが涙腺を刺激する。2人して同じ段ボールの中に収まっているのも尊いof尊いというもの!

他のヒロインの組み合わせも紹介したいが本記事では以上4名の紹介にセーブさせていただきます。大方予想はつくと思いますが表紙の組み合わせで隠れています。一部違いますけどね。

第6巻のメインコンテンツはツンデレ消失編。第48〜50話の合計3話に跨いで展開されるエピソード。基本1話完結の100カノで3話も費やすのはレア。

軽い長編なので、それくらい重要なエピソードということです。第1話から登場しているツンデレヒロイン院田唐音が堂々の主役として君臨するエピソードですからね。単独主役回が満を辞して訪れたということ!

それではツンデレ消失編の概要を順を追って説明していきましょう!

ヒロインの総数が11名に到達。これだけ人数が増えてくると自分と他人との差が嫌でも浮き彫りになってしまう。他のヒロインが素直に恋太郎に「ありがとう」とお礼が言えているのに対して、自分だけ素直に伝えることができない。

その悩みを抱えていた唐音は薬莉が作成したツンデレでなくなる薬を服用してしまう。
それにより、これまでのツンデレっぷりが微塵もなくなり素直で可愛い唐音が誕生する。

そのことに最初は驚き、変化を肯定しつつも恋太郎ファミリーは以前の唐音のことも大好きであるという結論に至る。

しかし、唐音本人だけは元に戻るのは嫌だとかつての自分を否定する

そこで恋太郎は唐音をデートへ誘い、第1話の告白のことを話す。
恋太郎が惚れたのはツンデレ全開の唐音。もしツンデレでなくなった唐音が本当になりたい自分の姿なら恋太郎はそれを全力で好きになると宣言。だが、ツンデレであった唐音のことが嫌いで、現在の変化を望んだのならば恋太郎はそれを認めないと強い意志を示す。

自分が大好きになったツンデレの唐音のことを、たとえ唐音本人にも否定させることは認めることはでいない!

その想いに触れた唐音は元に戻りたい=恋太郎が大好きになってくれたツンデレな自分に戻りたいと涙するのでした。

その後、ツンデレになる薬を薬莉が作成し早速服用してみるも効果は今ひとつ。唐音の中のツンデレ因子が不足しているのが原因とのこと。そこで恋太郎ファミリーの総力戦が実行される。唐音を除くヒロイン10名がツンデレ因子を発生。それを恋太郎が集めて唐音に届けるという作戦。

要するに元気玉です!

こういう真剣な局面でもパロディを忘れない!それが『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』

このツンデレ因子を集めるプロセスは笑いがありつつも熱い展開・セリフのラッシュで読者として感情の揺れ動きが凄まじかった。良いものを読んだとつくづく思います。



それで肝心の結果はというと・・・もちろん大成功!あのツンデレでチョロい唐音は帰ってきてめでたしめでたし。

それでは最終チャプター。まとめとして第6巻の魅力を厳選します。

作品テーマである「負けヒロインが存在しない」。このことと深く向き合ったことが第6巻の魅力です!

ありがとうと素直に言えないことに苦しみ悩む唐音。

彼女は自分のツンデレというアイデンティティーを否定し、ツンデレでなくなる薬を服用してしまう。それによって誕生したのは性格も怪力も失った素直な可愛い女の子。

これはこれで魅力的だが、元の唐音だって魅力満載でした。

我らが主人公:恋太郎は唐音の変化を尊重しつつもはっきり宣言します。自分が大好きになったのはツンデレの唐音だと。たとえ唐音本人にもツンデレな唐音のことを否定させることは認めないと強い意志を示す。

その想いを受けて唐音は元に戻りたいと本心を伝える。

唐音の想いを叶えるべく恋太郎ファミリーの総力戦が決行。

元気玉をパロディするというお家芸も披露しつつ唐音のためにツンデレ因子を集め、ツンデレ唐音を取り戻す展開はユーモアがありつつ、誰かの個性を肯定する姿勢に溢れていて胸にくるものがあります。

個性の肯定。これこそが「負けヒロインが存在しない」というテーマに含まれた重要なメッセージだと私は思います。

たとえヒロインが主人公に結ばれていても個性を肯定した上で結ばれていなければその意味は薄くなってしまう。

第6巻はこの素晴らしいテーマに深く読者が向き合えた巻でした。

それでは今回は以上となります。お時間いただきありがとうございました。

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