【映画レビュー】アイドルマスター シャイニーカラーズ2ndシーズン 第2章

アイドルマスター シャイニーカラーズ 2ndシーズン 第2章 感想 映画

おはようございます😊映画レビュアーのあーさんです。

今回は2024年8月23日より劇場公開された映画『アイドルマスター シャイニーカラーズ2ndシーズン 第2章』を鑑賞して参りましたので、その感想記事となります。

前章に当たる2ndシーズン第1章は未見での鑑賞体験他なりましたが、1stシーズンの方はテレビ放送全12話を視聴していましたのである程度作品知識を準備できた状態で見てきました。

2ndシーズン第1章のみ見逃した上で率直な感想を言いますと・・・

「面白い」という感想ではなく「良い」という感想が相応しい

これだけだとなんとも説明不足な感想ではありますが一言で感想を残すなら「良い」という結論になります。面白いかどうかは人によりけりだし、1stシーズン同様に淡白なテイストであることに変化はない。しかし、1stシーズンの頃になかった味わいとして「苦味」「酸味」「旨味」が加わったことで面白いと興奮するような鑑賞体験ではないが、心静かにいいもの見たな〜とそんな余韻浸れる作品に仕上がっていたのではないかと。


今回の2ndシーズン第2章は余韻が良いのです!

アイドルアニメものなのに定番のメインディッシュであるライブパフォーマンスシーンはほとんどない。第5話にあたるエピソードでライブシーンがあるけれどそれも作劇の都合で変化球を投げ込まれていて素直にテンション上がるものではなかった。しかし、そのライブシーンも含めてこの作品の余韻を深める要素になっていたのでライブシーンを酷評する気は全く起きません。

アイドルアニメとしてかなり異質な作品ではありますが、見て良かったと素直に思います。むしろ2nd1章を見逃してしまったことに深く後悔。それだけ今回のエピソードは胸に響くものがあったし今後の彼女たちの道のりを見届けたい気分になりました。そう意味ではこの作品はアイドルアニメとして正解なのかもしれません。アイドルはファンを魅了し応援を受ける存在。私は今回メインの扱いを受けた「ノクチル」にすっかり魅了されてしまったのだから。



それでは前置きはこれくらいにして今回の映画のエピソードでグッときたシーンをレビューしていきたいと思います。⚠️ネタバレ有りとなるのでご注意ください。

不思議な魅力に溢れるノクチル

トップバッターである第5話のメインを担当した「ノクチル」。第5話自体かなり異質な作品で、今回の劇場公開されたエピソードの中では最も印象に残り個人的に一番好きなエピソードです。

引き込まれる冒頭数分間

冒頭から異質!
BGMがないのがかなり印象的。身体に届く情報はキャクターのセリフと風の音や足音などの環境音のみ。どういった演出意図なのか勘繰ってしまっているあたり既に監督の術中にハマっている感じがします。

映画館の環境もあって目の前にあるのはスクリーンに映る映像とシアターの音響設備から発せられる音のみ。しかもスクリーンに映るトップバッターが全く笑顔を見せない樋口円香。高揚感が感じられない幕開けで「なんだこれは!?」と頭に疑問符が浮かぶ。
物語はそんな私の困惑をよそに進行していく。BGMがないままノクチルの4人が揃いステップ練習をしたりするアイドルものらしいシーンになるが、

全く笑顔を見せない円香
必死に練習する小糸
常に笑顔を絶やさないのが逆に不気味な雛菜
独特のテンポ感と存在感だけで周囲を魅了するオーラを持つ透


といった面子が幼馴染特有の空気感で会話を進めていくのも独特。アイドルものを見ているという感覚がやってこない。これに関しては円香と透の存在が大きく影響している


この独特な幕開けですっかり引き込まれてしまいました。繰り返しになってしまうが大事なことなので何度でも言います。BGMがないのが印象的です!このBGMがないことで感情のコントロール権を観客に委ね、幼馴染のみで構成されたノクチル4人の空気感をダイレクトに観客へ与えてくるという選択に拍手を送りたいです!完全にオープニングで引き込まれてしまった!

アイドルは観客を魅了させたら勝ち。魅了する方法はライブ以外でも良い

アイドルは観客を魅了させたら勝ち。この幕開けはノクチルのキャラクターの魅力を観客に届けるという点で大正解だったと思うのです。

ノクチルは283プロの中でも独特なユニットで正統派ではない。全く笑顔を見せない円香がいて、いつも一生懸命な小糸がいて、透のことが大好きな雛菜がいて、ただそこにいるだけで引き込まれるオーラを持ちマイペースな透がいる。それがノクチル。

第5話の幕開けはそんなノクチルの魅力を直球で届けに来ている。正統派アイドルとは異なるカラーを持つノクチルに興味関心を抱かせるこの冒頭数分間。ライブもないし、BGMすらない。アイドルが武器とする音楽・楽曲・ダンスで勝負してきてないのにノクチル4人がアイドルとして魅力のあるキャラクターであることが十二分に伝わってくる数分間でした。

芸能界の闇が見える作劇とノクチルの反撃

ノクチルのデビューとなる番組での収録での一幕。ノクチル4人とプロデューサーは番組の方針が事前に聞いていた内容と異なることに困惑する。番組サイドは透を中心に番組を構成していこうと画策しており、ライブパフォーマンスも口パクで良いとの指示やリハーサルも通しで一曲どころかサビにすら入らないタイミングで打ち切られる始末。

芸能界の闇が見え隠れる展開です。

そして始まる番組収録(おそらく生放送)。最初の収録はインタビュー。司会進行の質問に応じて答えていくスタンスだが、質問は透に対して集中砲火。透は普段と態度を崩すことなくマイペースな受け答えをしたり、4人全員に話しが振られるように誘導しようとするも司会進行の男はその誘導に流されることなく透中心にことを進めようとする。ノクチルらしさを引き出すことはなくインタビュー収録は終る。

そして、メインとなるライブパフォーマンスの収録。透はここで先のインタビューのことを引き合いに出してノクチルらしくやれば良いと檄を飛ばす。今まで練習してきたように、普段の自分たち幼馴染の絆を出すといういつも自分たちで収録に臨めば良いと透らしい言い回しで伝える。

始まるライブ収録。ここからが波紋を呼ぶ展開となる。

なんと、口パクすらやらない。ダンスのパフォーマンスはするが口を動かさない。小糸は要所要所で口を動かしているように見えたが、他3人は基本口を動かしてなかったかな?(ちょっとうろ覚え)
透は途中から歌詞にはない言葉を歌い出す。

「ホー、ホー、ホータル来い」
透のマイペースっぷりが遺憾無く発揮されていてこのシーン大好きです


これには後日ネットで炎上騒動に発展。プロデューサーは番組関係者に深く謝罪することとなる。しかし、今回の事態は仕事の確認不足だった自分にも落ち度があると捉えノクチルを叱責するような素振りは皆無。また、彼女らがしたことを褒めることはできないがプロデューサーは番組方針を無視したノクチルに輝きを見出す。プロデューサーは普段とは異なる前髪を下ろし、ネクタイを外したスーツ姿という少しラフな姿でノクチル4人と対面し今後の彼女らと仕事の方針について話し彼女らが心からやりたいと思える仕事をとってくることを約束する。

透と真乃の会話

第6話で印象的だった透と真乃の会話。アニメ「シャニマス」では珍しいユニットの垣根を超えたキャラクターの会話劇。

事務所屋上で会話する2人。2人を同じタイミングで空模様について口にだす。

真乃「晴れかな」

透「曇り」

同じ空を見ているはずなのに違う意見となった2人。

お互い苦笑いする。

少し先輩アイドルになる真乃に「アイドルって頑張ってなるものか」という問いかけをする透。それに対して言い淀む真乃だが、真乃はこれまでの経験を思い出しながら言葉を紡ぎ自分の気持ちやファンの応援に応えたいという気持ちがあるから頑張れるという旨の想いを伝える。

その答えに透はどこか納得した模様。

真乃は空を見上げて今の空模様が曇りなのか晴れなのかどっちなのかなと口にする。

それに対して透は「晴れだと思うよ」と先ほどとは違う意見を言う。



ここのやりとりはユニットを超えたやり取りであったことも手伝って印象深い。先の炎上騒動も相まってアイドルとは何か思考の迷路に入り込んでいる透の姿が忘れられません。そんな迷いを抱える透が真乃に対して質問し、真乃なりの答えに納得することが最後の晴れだと思う発言に込められているのが美しいです。ここのやりとりをする事務所屋上の空模様=背景美術がこれまた美しく、最初両者が異なる天気だと回答してしまうのも納得の絶妙な情景。夕焼け時で雲が多く雲の間からオレンジ色の光が注がれているという風景が心に焼きつきます。

アンティーカとアルストロメリア

大分文字を打鍵してきましたが、ほとんどノクチルのことしか語っていません。このままのペース配分で進むとボリュームがおかしくなりそうなのでアンティーカとアルストロメリアについてはカロリー少なめで行きます。

白瀬咲耶の葛藤

アンティーカは多忙を極め個人個人の仕事でスケジュールが埋まっていくという状況になっていた。それに関して白瀬咲耶はメンバーそれぞれに仕事のオファーが殺到していることに嬉しく思うと口にしながらも本心では寂しさを募らせていく。第7話ではそんな咲耶を中心にアンティーカ5人がバラバラになりそうな不安を解消し咲耶が本心を曝け出す展開が描かれる。メンバーの中でも大人びた態度振る舞いが目立つ咲耶が年齢相応の不安寂しさを抱える一面をメンバーに受け入れられていく作劇が心に沁みます。

優しさゆえにすれ違うアルストロメリア

第9話のメインはアルストロメリアの桑山千雪。甘奈が雑誌「アプリコット」のカバーガール・オーディションに臨むと知って、千雪は戸惑う。アプリコットは千雪の愛読雑誌。そんな雑誌に同じユニットメンバーの甘奈が臨むとなって応援したい気持ちで自分がそのカバーガールになりたいという気持ち両方が浮上してしまう。このエピソードではアルストロメリアの3人がそれぞれ優しさを発揮するが故にすれ違い正解のない土俵でもがいている様が見ていて辛かった。それでも最後には「反対ごっこ」で3人が心の底から思いを吐露したことですれ違いが解消していったことにホッと胸を撫で下ろす。

終わりに

今回は映画『アイドルマスター シャイニーカラーズ2ndシーズン 第2章』をレビューしました。

良い!余韻が良い!

特に不思議な魅力に溢れるノクチルにすっかり魅了されてしまいました。個人的にもミステリアス系に弱いのもあります。ポケモン的に表現すると効果は抜群だ・・・と言う奴ですかね。

ノクチルが今後どのような道を辿っていくのか大変気になります。アイドルらしさは控えめなのに人の興味関心・好奇心をそそるノクチルや恐るべし・・・。

映画はファーストインプレッションすなわち第1印象がかなり重要で2時間前後という長い時間を一つの座席に拘束する体験を強いるわけですから映画導入で如何に観客の心を掴みに行けるかが勘所。それに関して今回の映画は満点以上だったと太鼓判を押せます。BGMに頼ることなく環境音とキャラクターのセリフだけが耳に届き、アイドルなのに笑顔を見せない円香と異様なオーラを放つ透が視覚を占領してくる。特にこの2人の破壊力たるや恐ろしい限りです。


際立ったライブパフォーマンスシーンこそ無かったけれどアイドルアニメとして見応えのある作品だったと思います。各キャラの心情に寄り添った作劇が心地よい後味を生み出して見て良かったと心から言える映画でした。

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