今回は2024年11月末よりAmazonプライムにて独占配信中のドラマ『推しの子』を全8話鑑賞し終えたので、その感想記事となります。
原作コミックが大人気。TVアニメも2期まで制作された。つい最近コミックスが完結したばかりというホットなワードが飛び交うあの『推しの子』の実写ドラマ化ということで、非常に不安感を抱いていた作品です。
なんせ実写化ですからね・・・
しかし、いざ完走してみるとポジティブな印象しか抱けない。そんな作品であったことは間違いない!
いい意味で裏切られたと言って良いでしょう。
歴代の実写化が繰り広げてきた悲劇を『推しの子』でも繰り返すのかと疑っていた過去の自分にドロップキックをかましたくなる。
それくらい良いで出来栄えであった。
私は原作コミックは読んだことがなく、言ってしまえばアニメしか知らないニワカです。原作コミックを読破している方には本タイトルがどのように映ったのかわかりませんが、アニメしか知らない自分の立場からは良い実写化であったと胸を張っていいたい。
ということで、今回は実写版『推しの子』の何が素晴らしかったのかを綴っていきたいと思います。
まず作品ストーリーの流れをアニメとの差異についてまとめたチャプター1。
実際に鑑賞して感じたことを述べていくチャプター2。
最後に感想で述べた作品の魅力をまとめプレゼンしていくチャプター3。
という3章構成で進みます。それではよろしくお願いします。
Chapter1:Story 〜アニメと比較して〜
ということで第1章開幕。アニメ版と比較してどのようのドラマ版の物語が構成されていったか見ていきましょう。
ドラマ版第3話までは概ね同じストーリー展開でした。大きな違いがあるとするとTVアニメ第1話で印象的であった雨宮吾郎パート=転生前の描写がほとんどカットされていた点でしょうか。
ここは思い切ったなぁ。という印象。ドラマ版から推しの子の物語を触れた方にとっては不親切極まりない導入だと思いますが、アニメや原作コミックに親しんできた方をターゲットと仮定すると英断だったとも言えます。
コミック→アニメ化→実写化 というプロセスを踏んだ作品だからこそできた大胆なイントロ構成で個人的には拍手したいポイントです。
続いて4〜6話。ドラマ版は4話以降からがっつり変更点が目立つようになってきましたね。
特に4〜5話で描かれた展開はTVアニメ1期のクライマックスと2期の導入を並走するような構成で、尚且つ「東京ブレイド」が2.5次元舞台ではなくTVドラマとしてメディア化するという大胆なアレンジ。
これについて私は割と好意的。
最初は「なぜ変更したんだ?」と不満たっぷりだったのですが視聴を進めていくと腹落ちするというか本質的な作品の魅力はそのまま残しつつドラマならではの付加価値提供を生み出していたので良い改変であったと捉えています。1話の公演何度も繰り返す舞台を連続TVドラマに変更することで異なるトラブルが発生しそれがドラマを生んでいくので観ていて異なる味わいを生み出して良かったのですよね。
そして配信が少し遅れたラスト2話について。第7話はTVアニメ2期のクライマックスに相当するエピソードを凝縮しつつ、東京ブレイド編の改変を受けての変更点も目立っていた印象。割とフィナーレに重要なイベントは拾いつつ関係ない要素はオミットしていくスタイルなのでストーリーに破綻などはなかったですね。
そして最終話となった第8話はアニメでも触れていない領域ということでコメントのしようがないのですが、普通に見応えのある展開で面白かった。
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ドラマの続きは映画で!
ということで原作のグランドフィナーレまでやる模様。2024年12月20日よりロードショー。
『【推しの子】』TVアニメ第1期公式ガイドブック First Report
Chapter2:Review 〜素晴らしかったキャラ再現について〜
それではChapter2に突入です。Chapter1でもちらほら感想を述べてしまっていましたが、より踏み込んだコメントを残していきます。
作品評価【SS-】
まずは簡潔に作品の総合評価について。評価【SS-】ということ結論になりました。
ドラマ版ならではの付加価値とキャラクター再現率は素晴らしかった。後続の映画も控えているということであまり高すぎる評価をしてもあれかな〜ということでSS-という結果です。
期待値は0だった
こちらのビジュアル発表当時。そりゃもう一目見てダメだこれと思いました。おそらく私以外の多くの方も「実写化の被害タイトルがまた増えるのかぁ・・・」とため息を漏らしたのではないでしょうか?
期待値を覆した2つのインパクト
しかし、見る前から駄作と決めつけるのも良くない!実際私はこの2024年それなりの数の成功実写映画(ゴールデンカムイ・キングダムなど)を目の当たりにしてきたこともあって実写化に対する懐疑心が薄らいでいることもあります。
駄作かもしれないが見るしかない!ということで配信早々に視聴してみたわけですが、想像を絶するインパクトにエンカウントしたわけです。
そのファーストインパクトを与えたのが星野アイ役を務めた齋藤飛鳥さん。
やはり第1話には度肝抜かれました。完璧に星野アイを演じていた。アニメで受けた印象を再現する演出人の手腕もあるでしょうが役者の表現力に脱帽。喋り方やら声の響き方やら何から何まで星野アイその人であると言わざるを得ない。
Huggy Good Smile TVアニメ【推しの子】アイ
ファーストインパクトがあればもちろんセカンドインパクトもある!(エヴァ世代の人には伝わるかな?)
セカンドインパクトは第2話そのもの。こちらの『今日は甘口で』のドラマ風景に度肝抜かれた。
カチンコの合図とともに役者スイッチをオンにする有馬かな。対して大根芝居で応戦するメルト。カバーのしようが無いキャスティングに絶望する有馬かなの救世主の如く現れるアクア。
アニメ版とは明らかに異なるロケーションで敢行されている撮影風景。それ故にアクアの台詞回しにも差異が生じている。しかし、どこからどう見てもTVアニメで味わった名シーンと同じ感覚が心を支配していく。
これはガチで良い実写化だと確信した瞬間と言えるでしょうか。星野アイ=齋藤飛鳥だけのワンマンコンテンツではないと高らかに宣言した第2話の出来栄えにひとり拍手喝采なのでした。
フェイバリットエピソード3選
作品評価のビフォーアフターを述べたところで、個人的にお気に入りのエピソードをリストアップ。
第1位はやっぱり第1話。齋藤飛鳥さんについては語ったので他のことについてコメントします。
個人的に驚いたのは赤ちゃん〜子ども時代をしっかり描いたこと。転生前のパートをがっつりカットしたことにも驚いたが、その後の展開はしっかり描いていることにも驚いた。流石に赤ちゃんのダンスはなかったがアテレコで赤ちゃん時代にも台詞を成立させ、子役にはしっかり本人の声で台詞を読ませて大人顔負けの演技も要求してくる。
ここまでやるか。ここまで再現してくるかと実写にまとわりつくハードルを超えようとするアプローチ・気合いのようなものが感じ取れて嬉しかったですね。
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続いて第2位は第7話。
ルビーが一気に作品の先頭に並び立ったと言えるエピソード。これまではアクアを中心にドラマが展開されてきましたが、ついにルビーも本格参戦。
転生前の2人の最後の地であり、転生後の最初の地である宮崎県に舞台を移し、ルビーが想い人の顛末を知ってしまうエピソード。ここの齊藤なぎささんの芝居も素晴らしく、この1話の中にルビーが持つ魅力・深みを見事アウトプットしていたのが印象深い。川の中で1人佇みミステリアスでダークな雰囲気を醸すあのシーンは本作屈指の名シーンであった。
本作は要所要所であの特徴的な星の瞳を再現するアプローチが特徴的ですが、ここでのルビーの瞳が一番印象に残るくらい凄かったです。
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最後の第3位は第8話こと最終話。
ドラマの幕引きを飾り、映画へとバトンを渡すエピソードで続きが気になる要素のオンパレードでしたね。アクアとあかねの関係性に起きた変化。かなに訪れたスキャンダル報道を打ち消すためにアクアが出したワイルドカード。それによってルビーとの関係性にまで亀裂が生じる。五反田監督は遂にアイとの約束を果たす時が来た発言。
物語を盛り上げるカードがこれでもかと切られたエピソードですが、私が第3位に選んだ理由はアクア役の櫻井海音さんの演技力に惚れ込んだというところが大きい。
第8話はアクアにとって厳しい真実に向き合う必要があるエピソード。よって櫻井さん自身の表現力が問われる。今までで最も感情をむき出しにする必要がある芝居を要求されますが、それを見事やり切った櫻井海音さんのことを讃えたいのです!
その他雑感
8割方の感想は述べたのでそのた雑感として色々とコメントしていきます。
まずは有馬かなの髪の色について。
光の当たり方で色が変わるのが印象的でした。黒のように見える時もあれば綺麗な赤毛に見える時もあって実写化に纏わりつく髪の色問題に一つのアンサーを提示してくれたようで細かい点ですが非常に評価が高い点。
メルトについても改めてコメントしておきましょう。
あの大根演技を最高な形で演出してくれた監督並びにスタッフ。そして簡秀吉さんに感謝。
続いて東京ブレイドの改変について。これはChapter1でも触れましたが改めてコメントしましょう。
私は賛成派です。
最初は否定的でしたが、TVアニメと違うメディア化となったことで連続TVドラマ故の脚本リライトがもたらす様々な余波による影響が面白く描かれていて素晴らしかった。仕事で納期に携わる方ならばあれは共感せざるのえないのではないのかな?
その後の劇中での東京ブレイドの評価のされ方と我々ドラマ『推しの子』を見ている人の評価がシンクロしていくようなところもあり、脚本家の掌で踊らされていたような感覚を味わえたのも愉快でした。
お次は黒川あかね役を務めた茅島みずきさんの芝居について。
最初にあかねを見た時、なんかイメージ違うなぁと思ったのですが、最終的に黒川あかね役が茅島さんで良かったと心から思うに至っています。
声色は茅島さんとアニメ版であかねを務めた石見舞菜香でベクトルが異なっていたことが第1印象を左右していました。茅島さんはクール系で石見さんはキュート系という印象を受けるので方向性が全く異なるのですよね。
しかし、その評価を一転させたのが黒川あかねの真骨頂。プロファイリングからの星野アイ演技を披露。ここで凄い!!!と息を呑んだ。この転機を境に茅島さん演じるあかねが黒川あかねとしてキラキラ輝き出して360度、どこから見てもあかねにしか見えなくなるから不思議なんですよね。
まとめ&プレゼン
それでは最終章です。感想で述べてきたことをギュッと凝縮して作品の魅力をまとめていきましょう。
今回のレビュータイトルはこちら。実写ドラマ版『推しの子』。
作品の魅力を3つに厳選するならば以上の3点となります。
こちらのキャラクタービジュアルが発表された当初。多くの方が悲壮感を味わったことかと思います。
しかし、蓋を開けてみるとその中身は珠玉の一品であったと断言します。
ルックスだけではなくキャラクターを構成する様々な要素を実写に落とし込むアプローチを実施されていました。
やはり多面的に表現されたキャラクターには厚みがあります。外見だけのコスプレではなく立体的にキャラクターを表現している役者陣の熱量こそ本作の最大の魅力。
個人的MVPは間違いなく星野アイ役に抜擢された齋藤飛鳥さん。彼女の再現力に周囲の方が後押しされて実現したのが本作であったように思います。
齋藤飛鳥さんだけでなく他のメンバーも素晴らしかった。特にお気に入りなのが五反田監督だったりします。
キャラクター再現に対して物語は対照的に大胆なアレンジが目立っていることも実写版の特徴。
これには賛否両方の意見が集まることと予想します。
私個人としては今回のアレンジ・改変は大いにありであったと感じました。
『推しの子』という作品の魅力は芸能界の闇を赤裸々に暴いていくスリリングなストーリー。コミックス並びにアニメでは描かれたなかったTV局の暗部にスポットライトが当たる実写版の改変はナイスアレンジであった。
最後に特殊な再現アプローチがなされていた作品の象徴たる星の瞳。
コミックスやアニメでは常時瞳に星が描かれていますが、実写化ではそれは叶っていません。
しかし、物語の節目節目のキーポイントで瞳に演出が施されシンボリックな星が出現するのです!
おお〜そうきたか!と感嘆する他ない見事な演出です。
コミックとアニメが成功した流れを受けての実写化は作品愛と理解によって支えられ見事成功を納めたと言って良いでしょう。
そして、そのドラマ版の続きは劇場へと託されます。
それでは今回は以上となります。お時間いただきありがとうございました。
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