おはようございます😆映画レビュアーのあーさんです。
今回は2024年9月20日より劇場公開された映画『トランスフォーマーONE 』を鑑賞して参りましたので、その感想記事となります。
いや〜、見事な傑作です。
おそらくマイケルベイ監督から始まった実写トランスフォーマーからなる映画群の中でも一段格上の作品ではないかと感じました。個人的にはトランスフォーマー映画史上最高傑作の烙印を押しても良いです。
物語はTFを代表するオプティマス・プライムとメガトロン。両者の若かりし頃を描いたファーストエピソード。まだ2名が友情を育んでいた頃から物語が始まり、「何か」が起きて友情に亀裂が生じて2度と元の関係には戻れなくなってしまった破局譚。
この物語構造が美しい限りです。
実写映画で幾度となく描かれてきた両者の対立の原点が丁寧かつ明朗快活に掘り下げられております。
本記事ではその美しい文脈に彩られた物語や物語を支えたキャラクターたちに焦点を当てていきます。
⚠️前半はネタバレ要素OFFですが、後半はネタバレを含みますのでご注意ください。
面白さ:星*9 ★★★★★★★★★☆
まずは物語の面白さについて。これは文句のつけどころが正直ないレベルで良いです。強いて言えばかなりシンプルなストーリー構造をしているので捻りがなく前半は特に単調に感じてしまうところ。
しかし、単調気味は前半もクライマックスに実る最高の果実の種蒔き期間なので特別酷評に値するものではないし、パックスとD -16の友情がよくわかる期間でもあるので退屈することはありません。W主人公の友情描写がこれでもかと摂取できて満足感の方が大きいです。
後半は前半で蒔かれた種が開花し、物語が大きく変革=トランスフォームしていきます。力不足だった作業用ボットからトランスフォーム能力を得た戦士へと変化し敵と対等かそれ以上の力を持って戦闘に挑んでいく姿がようやく見れます。
そして、力を得たことでパックスとD-16の立ち位置が様変わりして前半で描写されていた友情とは異なる感情が両者の間に生まれていく展開が美しい。
人間ドラマという足枷から解放された伸び伸びとしたストーリー
本作品に人間は一切登場しません。
惑星サイバトロンがメイン舞台なので当然ですね。
実写映画との最大の違いは人間不在による人間ドラマを描かなくて良くなったという点。
やはり、実写映画だと人間サイド側にも物語を持たせ見せ場を設ける必要があってどうしてもオートボットらの活躍を薄めてしまう部分がございました。
人間ドラマが足枷にしかなっていない作品も過去の実写映画にはチラホラあります。
しかし、今作にそんな心配は不要。人間がいないので思う存分ロボットのみのドラマが見れます。足枷となる要素が減るだけでストーリーがこんなにもストレスレスになるというのは一度味わってしまうと以降もそうしてくれと思うレベルで心地良い。
キャラクター:星*9 ★★★★★★★★★☆
本作品のキャラクターはみんな魅力的です。やはり筆頭はオライオンパックスとD-16。この2名についてはネタバレなしで語るのは難しい。重要キャラであるセンチネルプライムや安心安定のスタースクリームのお気に入りのキャラクターです。この4名に関してはネタバレを踏まえて語りたいので記事後半に任せます。
ここでは特にネタバレにならないキャラについて触れていきます。
【実写映画とは異なる魅力】超おしゃべりなB-127
バンブルビーことB-127。予告編でも騒々しく五月蝿いキャラでしたが、映画本編では予想以上のハイテンショントークマシーンとして観客の心に刻まれる活躍っぷりでした。
その五月蠅さは天井知らずで劇中のキャラにも度々指摘されます。本作品のコメディ担当兼ムードメーカーの役割を全うし作品のテイストが明るくなる立役者として機能していました。
B-127がいることで適度にユーモアのあるシーンが定期的に訪れるので、観客としても小君良く鑑賞できた次第です。
【シンプルに強い】エリータ
味方陣営において紅一点となったエリータ。
吹き替えキャストは吉岡里帆さん。
唯一の俳優畑からの吹き替えメンバーの抜擢でしたが、アフレコ技量はプロの声優に見劣りしないレベルで作品の品質に悪影響を与えることなかった点をまず褒めたい。
話をキャラクターに戻します。
味方サイドで唯一の女性型オートボットですが、映画序盤ではエネルゴンの採掘チームのリーダーとして登場。その登場初期から映画のラストまで一貫して強さを堅持。サウンドウェーブやショックウェーブとの絡みで一際輝く彼女の強さは作品に笑いをもたらしてくれるし、ピンチの時も頼りになる傑物として安心感のあるキャラクターでした。
アクション(殺陣):星*8 ★★★★★★★★☆☆
CGアニメーションを活用した膨大な情報量とカメラワークの視覚的アトラクション性は抜群です。
あえて欠点を挙げると目新しいアクションのようなものは特になかったかな〜という点ですかね。
特別既視感のあるようなアクションばかりというわけでもないですが、新鮮味はそこまで感じないので評価は控えめにして星*8。控えめと言いつつ高評価なのは間違い無いです(笑)
初心者歓迎:星*12 ★★★★★★★★★★⭐️⭐️
トランスフォーマーシリーズを過去に触れていなくても全く問題ないです。
実写映画シリーズ未視聴でもOK。シリーズ入門作としておすすめできる一品
特に過去にマイケルベイ監督からリリースされた実写映画シリーズを見ていなくても問題ないです。知っておくとキャラクター描写にリスペクトや新しい発見があることは間違いないですけれど、本作品の本筋を味わうのに必須ではないので。
脚本の出来栄えは過去の実写シリーズよりも圧倒的に優れているので、今作をシリーズの入り口としておすすめできるレベルです。
感想(⚠️ネタバレ有り)
さてここから先は本編の内容に触れながらネタバレ解禁した感想を述べていくとします。
【イチャイチャ全開!】パックス&D-16
物語序盤の山場となるレース。
ここに至るまではもちろん、レース道中もパックスとD-16の仲睦まじさがこれでもかと摂取できます。
お前ら付き合ってんの!?
と、ツッコミたくなるレベルで仲良しです。もちろん男性的距離感での友情描写しかありませんが。
レースに参加するトランスフォーム能力を有したハイスペックなボットに対してただの作業用ボットであるパックスとD-16が機転と友情で立ち向かっていく様は胸が熱くなります。
レースのゴール目前でアクシデントで足を負傷するD-16を決して見捨てず共にゴールに辿り着こうとするパックスは非常に魅力的ですし、クライマックスでの両者との関係性のギャップを生む効果もあって非常に有意義なシークエンスだったと思います。
【ターニングポイント①】真実を知るD-16
物語前半の山場となるサイバトロン星の地上に出たメインキャラ4名がアルファトライオンに出会いセンチネルプライムの裏切りを知るシークエンス。
ここがこの作品のギアが一段階上昇する。
- 真実を知って、センチネルプライムが敵であることが判明。(観客的には胡散臭いやつだとは諏訪部順一さんの演技も相まって明白だったのでそこまで衝撃はない)
- 真実を知ったことにより、今まで信じてきたことが紛い物であったことに困惑するメインキャラ4名。
- アルファトライオンからトランスフォームの力を授かり、作業用ボットからオートボットへの変革。
- 力を得たことと信頼からの裏切りで「メガトロン」としての素養を開花させつつあるD-16。
これだけの情報が一気にやってくるのだから面白さが加速していくのは必然です。
【登場時がピーク】スタースクリームは日和ってなんぼ
スタースクリーム。本作品でも相変わらずの立ち位置で日和まくっています。
彼の威厳のピークは登場した時。ここから先は転落していく一方でメガトロンになりつつあるD-16にボコボコにされるて部下を奪われ、センチネルプライムの手下であるエアラクニッドらの部隊に捕まり捕虜にされる。極め付けにはセンチネルプライムを打倒したD-16にちゃっかり部下として鞍替えするわと実写シリーズと一貫したキャラクター性が確認できます。
これ、これ!スタースクリームはこの小物感が良い!
登場時の玉座にふんぞりかえっている姿からの転落っぷりが堪らない!!
【良い前座役】センチネルプライム
本作のヴィラン=センチネルプライム。物語初期はサイバトロン星の統治者としてカリスマ性を発揮し、D-16らの羨望を集める。
しかし、その実態は敵であるクインテッサ星人に寝返りサイバトロン星の勇者であるプライムたちを死に追いやった張本人。
彼の魅力は声優を務めた諏訪部順一さんの演技に底支えされていた点も大きいです。諏訪部さんのなんとも言語化し難い胡散臭い臭の漂う台詞回しが絶妙で、一目見た瞬間観客には「こいつは敵だな」とわからせる説得力がありました。
本作のメインディッシュは「D-16がメガトロンに堕ちること」がその一つ。そのメインディッシュのための前菜役としてセンチネルは最高の役割を全うしてくれました。
強すぎず、弱すぎず、丁度良い強さ加減でメインキャラクターたちを物理的に追い詰め、D-16に対してだけはその偽りのカリスマ性を持って築いた偽りの平和の歴史でどん底にまで精神的に追い詰めてメガトロン誕生の起爆剤を担ってくれたのです。
センチネルの最後も素晴らしい。
民衆にクインテッサ星人に加担していたことが明るみとなって心理的に追い詰められたところをD-16にボコボコにされて身体を真っ二つに裂かれるという惨めな最期。前座役の散り際として相応しい結末に思えましたし、D -16の後戻りできない感が伝わってきて堪りません。
【ターニングポイント②】覚醒ートランスフォーム➖ オプティマスとメガトロンが生まれる瞬間
本作品で最もテンションが上がったのはパックスとD-16がそれぞれオプティマス・プライムとメガトロンへと覚醒するプロセス。
センチネルの悪事を明るみのものとして優勢を勝ち得たパックスとD-16。D-16はセンチネルの息の根を止めようと攻撃を辞めないが、パックスはサイバトロン星の新たなる門出をセンチネルの処刑にしてはならないとD-16に立ち塞がる。
メガトロンへ至るD-16
そんなパックスの制止を振り解いて攻撃を止めないD-16の砲撃がセンチネルに直撃する間際、パックスは両者の間に入り砲撃をモロに喰らってしまう。
この風穴が空くシーンは非常に鮮烈でインパクトが絶大です。普通に考えて致命傷になるレベルなので思わず見た瞬間口が開いて、しばらく閉じることができなくなりました。
風穴ができたパックスは崖ぎわから転落しそうになるもD-16は落下しそうになるパックスの手を掴み落下を阻止する。しかし、D-16は迷いを捨てると同時に掴んだ手を離してパックスを突き落とす。
D-16が完全にメガトロンとしての精神性に至った瞬間である。
オプティマス・プライムへの覚醒
D-16に突き落とされたパックスは惑星サイバトロンの中核へと辿り着く。
映画序盤。パックスが見た記録映像により描写されていた最初のプライムが惑星サイバトロンへとトランスフォームした伏線が回収され、惑星サイバトロン中核に眠っている歴代プライムの意思がパックスの善性を讃え、新たなるプライムとして認める。
失われていたマトリックスがパックスの胸に宿りパックスが新たんる姿へと変貌=トランスフォームする。
そして、スクリーンに映る姿は我々観客が実写シリーズで見慣れたオプティマス・プライムに似た姿。
あまりに美しい覚醒への文脈
オプティマス・プライムとメガトロン。トランスフォーマーを代表する2大キャラクターの誕生経緯にそれぞれが深く関わっている点がエモい。
パックスがD-16をレースに強制参加させたり、地上へ行くという判断をしていなければメガトロンが誕生することはなかった。
D-16が友情を捨てて武力の道に走る選択をしていなければパックスがサイバトロンの中核にたどり着くこともなくオプティマス・プライムが誕生することはなかった。
それぞれが作用し合う形で惑星サイバトロンの命運を左右する傑物が誕生することがなかったという文脈に美しさを感じざるを得ない。
終わりに
今回はトランスフォーマーシリーズ最新作。映画『トランスフォーマーONE 』をレビューしました。
めちゃくちゃ面白かったです。
さながらトランスフォーマー版『XーMEN ファーストジェネレーション』といった感じで若かりし頃に友情を育んだ2名が袂を分かち敵対するに至るまでの道のりを描いた傑作でした。
悪役の誕生を丁寧に描いた映画に外れはないですね!
ポストクレジットシーンで続編の可能性を示していますし、映画の出来栄えむちゃくちゃ良いのでこのままアニメ路線でトランスフォーマーシリーズを展開していくのは大いにありだと思います。
えっ、実写映画のGIジョーとのクロスオーバー展開はどうするのって!?
・・・・・・
それは無しでも良いんじゃないのかな?
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