映画「フェラーリ」感想

映画

おはようございます😄ブログ管理人のあーさんです。

7月5日公開の映画**フェラーリ**を鑑賞して参りましたので、今回はその感想レビュー記事となります。

率直な感想を申します。

楽しくなかったけど、面白かった!

チグハグな感想のように感じるかもしれませんが、これが私の嘘偽りのない感想です。

なぜ、このような感想に至ったのか記事本編で詳しく解説させていただきます。

よかった点

まずは映画本編の中身で良かった点について箇条書きでまとめます。

  • 主役2名の演技が大変素晴らしい
  • エンツォ・フェラーリの人間関係がスリリングで面白い
    ・既に亡くなっている妻との息子愛人愛人の息子との関係がエグい)
  • フェラーリの妻**ラウラ**の狂気っぷりが面白い

名演技を披露するアダム・ドライバーとペネロペ・クルス

主演アダム・ドライバーと第2の主役と言える妻ラウラを演じるペネロペ・クルス。両者ともに素晴らしい演技を披露してくれていました。

両者ともに顔で語るシーンが非常に印象に残っています。

アダム・ドライバーは1983年生まれのアラフォー。演じていたエンツォ・フェラーリは59歳の設定なのですが全く違和感がなかった。59歳の貫禄を身体全身で表現しておりその佇まい・風格・表情、全てにおいて100点満点の演技をしていたと感じました。

フェラーリは作中至る所でその傲慢っぷりを披露してきます。映画冒頭の理髪店での一幕はとても印象深く「私は敗北から学ぶが君は違う」と同店舗に居合わせた経営者に言い放ったシーンは印象的でした。

とにかく態度は不遜で偉そうな男。それがフェラーリ。でも、その発言ができるだけの実績を持ち合わせている人物でアダム・ドライバーは、59年という歳月で熟成されたエンツォ・フェラーリの人物像を見事に演じきっていました。

ベストアクター:ペネロペ・クルス

そんなアダム・ドライバーの演技力を引き出したのではないかと思えるのが共演者ペネロペ・クルス

アダムドライバーも表情で魅せる素晴らしい芝居をしていましたが、今作のベストアクターは間違いなくペネロペ・クルスでした。

ペネロペ・クルスの顔だけで心情を語る演技には脱帽です

ペネロペ演じるラウラはフェラーリの妻。夫には👩愛人の家に通う日々を過ごされており、約束の時刻に帰宅していれば良いという寛容さを持っていると思いきや、遅刻してきたら夫に🔫発砲するクレイジーさを持ち合わせています。

本作はラウラが1番見ていて面白いというかハラハラさせてくれます。

ラウラはフェラーリと愛人の間に子供ができていることを知らない。そもそも愛人の名前すら知らない状況。

物語が進むにつれて、とあることをきっかけにその両方の存在を認知することになります。

この真実に出会ってしまってからのラウラの行動、夫との関係性がどのように転ぶのか、見ていてハラハラドキドキしてしまう。

映画のタイトルが**ラウラ・フェラーリ レースの帝王の妻**でも良かったんじゃないかと思えるくらい作中で異彩の存在感を放っています。

ペネロペの表現力は素晴らしく、愛人の息子の真実を知ってしまった後のなんとも形容できない表情には目が釘付けになってしまった。何も台詞にしない、言葉にしない、でも表情だけで全て伝わってくる。絶望とも、諦めとも、怒りとも言えるような表情。

ラウラとフェラーリの間の子供は作中の1年前に既に他界してしまっているので、愛人との間に息子ができていてその子供が12歳にもなるという事実は他人が想像できる範疇を超えた衝撃だったのでしょう。

彼女の心境・表情を私の語彙では如何とも表現できないので是非とも劇場で体感して欲しい。

悪かった点

本作、娯楽性はないです。私はそう感じました。
役者の演技は素晴らしく、心奪われるものがありましたがストーリーそのものに娯楽性はないと断言します。

  • 決してフェラーリの成功譚を描いた物語ではない点
  • 報われない妻ラウラ

悲劇で幕を引くレース

予告編でも印象を残すレース描写。
これが本作の目玉だと思って劇場に足を運ぶと痛い目を見ます。

本作はフェラーリの人物像に迫った映画。彼の4つの姿を垣間見る映画です。

  • 夫としての姿
  • 父親としての姿
  • 愛人としての姿
  • 経営者としての姿

レース部分に関わるのは経営者としての姿。全体の1/4。

レースの映像は素晴らしいです。一体どうやって撮影したのか想像するだけでワクワクするレースシーンはしっかりあります。しかし、尺自体は控えめ。かなり終盤で本格的なレースに突入するので出番もだいぶ後半の方ですね。

そして、このレースで悲劇が起きます。
フェラーリチームの車で事故が起きて、5人の子供を含む9名の死者が出てしまう。

レースそのものはフェラーリチームの1名が優勝するも、レース後のフェラーリ陣営は事故の後処理、責任問題に振り回される。

私はてっきりフェラーリの情熱で作り上げたマシーンがレースで優勝し物語が幕を引くと思って劇場に足を運んだのでこの展開には思わず前のめりになってしまった。

事故シーンはかなりエグいです。真っ二つになってしまった人も写っていましたからね。

一応補足しておくとこの描写そのものはマイナス要素ではないです。しかし、映画そのものにエンタメ性がないと証明するシーンですので映画に娯楽性を求める人にはマイナスとなり得るかと。

報われないラウラ

映画も最後の大詰めシーン。前述した事故の後処理でマスコミに追われるフェラーリに追い打ちをかけるかのようにフェラーリの耳にラウラが、フェラーリとの約束を破って会社を経営破綻に追い込んでしまう行動をしたとの一報が入ります。

フェラーリはラウラの元へ向かい2人きりの対話シーンとなる。
このシーンの状況は

  • ラウラは既にフェラーリの愛人の存在と、その息子のことも知っている
  • フェラーリは離婚・別居も視野に入れるほどにお互いの関係が緊迫している


という状況。

そのような状況でラウラから意外な提案が出されます。会社を経営破綻に追い込むことに繋がるフェラーリから現金50万ドルの金額を受け取る小切手で用意したお金をフェラーリのマスコミ対策=賄賂に使えば良いという提案。

我々観客もフェラーリ本人もびっくり。この50万ドルをラウラは自分ために使うものかと思い込んでいたので、まさかそれを夫の助け舟にするとは予想外。

しかも条件は無しで。

しかし、願望はあると続けます。その願望は愛人の息子を認知しない=正式なフェラーリ性(苗字)にしないというもの。

ここでフェラーリは沈黙し場面は切り替わります。

切り替わった場面に映るのはフェラーリと愛人の息子ピエロ。

ラウラからの願望に対してどのような返答をしたのかわからないけれど、物語は進行しフェラーリとピエロはフェラーリとラウラの息子ディーノの墓へ向かっていく

そして物語は幕を引き、最後にちょっとした字幕でラウラが他界し、フェラーリの会社はピエロ・フェラーリが後を継ぎ、現在(2024年)副会長に就任しているとクレジットされます。

おいおいおいおい!

ラウラ視点で見ると明らかにバッドエンドじゃん!!!

ラウラの願望に対してフェラーリが首を横に振ったと考えてほぼ間違いない。

ラウラに感情移入していた私としてはそれはそれはショックですよ。

でも、この映画は実話をベースにしています。それが真実なら受け入れるしかない。

終わりに

冒頭で述べた通り、今作は楽しくなかったけど面白かったという感想に尽きます。

役者の演技・芝居を堪能する分にはとても高い満足度になります
アダム・ドライバーとペネロペ・クルスの表現力は素晴らしく、両者ともに台詞ではなく顔で表情で観客を魅了してきます。

特にペネロペ・クルスの表情はすごいです

そんなペネロペ・クルスに魅入られたからこそ物語の結末に**うーん**と思ってしまう。何かしらの形で報われて欲しかった。

万人にオススメできる作品ではないですが、役者の演技力に心惹かれる方は是非とも鑑賞していただきたいと存じます。

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