汗でアスリートをメイクアップする保谷先生。短いテキストでキャラクターの心情の深奥へのヒントを施す文殊先生。これぞスタブロの真骨頂と言える著者2名の技が光る第51話「1マイル」の感想プレゼン。

おはようございます。『ウマ娘シンデレラグレイ』🎞️映画化を夢見るフリープレゼンターの🦉あーさんと申します。スターブロッサムもメディア化して欲しいと切に願っていますとも‼️
『ウマ娘プリティーダービー スターブロッサム』第51話「1マイル」を読みました。となりのヤングジャンプで期間限定無料公開なので、是非皆さんもこの好機を活かしてみてはいかがでしょう?
早速、ネタバレ無しでの感想をまずは記すとしましょう。

「これだよ!これこそスターブロッサムの魅力だよっ‼️」———という感想になりましたとさ。
いんや~~~大変素晴らしいエピソードでした。スタブロの魅力とといえば保谷先生の画作りと文殊先生のシナリオの相乗作用。保谷先生はレース中の選手を勇ましく且つ美しく描く技量に優れており、文殊先生は限られたテキストで読者にメッセージの深奥を推測させるのが大変お上手。
今回のエピソードはまさにお二人の真骨頂が発揮されたと言っても過言ではない代物であったと太鼓判をおさせて頂きます!
ネタバレ無しの感想プレゼンはここまで。ネタバレ解禁での感想は本編にてプレゼンさせていただきます。本編は大きく分けて2部構成。
- 第1部:レポートパート
- 第2部:エミュレートプレゼンパート
第1部では50話がどのような内容だったのか登場キャラとシナリオの流れについて。第2部は当ブログ恒例の🪞エミュレートプレゼンversion“杉下右京”で解説していきます。『相棒』の主人公:右京を模倣したテキストで文章を彩っていきますよ。是非、水谷豊さんの声を思い浮かべながら、お楽しみください。
第1部:エピソードレポート(⚠️ネタバレ注意)

登場キャラクター
- サクラバクシンオー
- ノースフライト
- サクラローレル
- 明石椿
- サクラチヨノオー
- サクラチトセオー
- ヨシノプリヴェール
- 明石梧郎
- ノースフライトのトレーナー
- ビコーペガサス?
- 実況
- 解説
ストーリーライン
大雑把ながらストーリーの流れをここに記します。本編の魅力たる“旨味”の部分は可能な限りカットしますので、その真髄はご自身の瞳と心でご堪能あれ。
🔻最終直線
前話=第50話ラストと重複する開幕。レース最終コーナーから最終直線へと移行するシークエンスを再度描き、前回のエピソードで描けなかったノースフライトの心情が大幅に補強される。
🔻決着
最終直線で死闘を繰り広げるサクラバクシンオーとノースフライト。会話劇はなく、ノースフライトのモノローグ、実況と観客席のリアクションが描写されていく。そして、決着がつく。
🔻王と女王の抱擁
レースを終えたノースフライトに歩み寄り、握手の合図を送るサクラバクシンオー。それに応えるノースフライトだが、サクラバクシンオーはそこからさらに抱き寄せるというアクションをかます。
驚くノースフライトにサクラバクシンオーは想いの丈を口ずさむ。その想いに対してノースフライトも自分の気持ちを伝え、タイトル「1マイル」に込められた意味が回収される。
第2部:エミュレートプレゼンSTART
1マイル=1600m———ウマ娘らが駆ける競争の世界において比較的短い部類に属する戦場です。この戦場を舞台とするマイルCSが始動したのは第50話から。その決着を描く第51話。たった2話だけで紡がれた短距離王サクラバクシンオーとマイルの女王ノースフライトの最終決戦。
しかし、距離の短さに反比例するかの如くその物語は圧倒的密度を誇っていました。今回のエピソードで僕が唸らずにいられたなかったのは圧倒的作画。
保谷伸先生によるウマ娘の描き方はいつ見ても素晴らしいのですが、その真価はレース中にこそ発揮されます。
これぞ!スタブロ‼︎‼︎!走者をメイクアップする美しき“汗”

汗!
スターブロッサムの作画を担当させる保谷先生の画風の魅力といえば、アスリートであるウマ娘らの顔・表情をメイクアップする汗の作画描写に他ならない!
通常、汗というのは人に不快感を与えかねないものです。衛生観念的に人にはそのように感じてしまうセンサーが宿っているのでしょう。
しかし!保谷先生の作画は異なります。まるでアスリートの顔に化粧を施すかのように汗を施す。顔を汗だらけとなった彼女たちの見目は美しい。ひたすら美しいのです。
何故壮思うのか……それはまだ言語化が難しいのですが、一つ自分の中で答えの輪郭のようなものは抱いています。レースにかける意気込み・覚悟がそこには込められている———僕にはそのように思えてなりません。
漫画とはどこまで行っても静止画。動画に比べれば情報量は決定的に不足する。ですが、汗の描写を色濃くすることで、行間を推測することが叶います。これほどの汗腺量を実現するには全身全霊で望まざるを得ない。脳が自然と捕捉してくれるのか、それとも心が答えを導き出そうとしているのか一体どちらかなのか分かりかねますが、保谷先生の作画にはそのような不思議なパワーが秘められている。
サクラバクシンオーの想いを言語化したノースフライトのラストメッセージ

保谷先生を称賛したのですから、脚本担当の文殊咲先生についても絶賛しなくてですね。文殊先生がスターブロッサムに施している執筆の特色として説明台詞の省略という個性があると僕は捉えています。丁寧な説明過多ではなく、極力セリフを削ぎ、必要最低限の言葉で読者にキャラクターの心情を届ける。
脚本家として技量が優れていなければ不可能な芸当です。
今回のエピソードはその卓越した技量が遺憾なく発揮されたと見受けました。レース後サクラバクシンオーはノースフライトを抱き寄せ、こう言うのです。
「一緒に——走り続けるには…短すぎますね1マイルは」
もっと走っていたい、もっと多くのレースで競争し続けたいという彼女の気持ちを表現した台詞ですねぇ。この言葉も十分魅力的ですが、僕がピックアップしたいのはそれに続くノースフライトの台詞。
「でも1マイルだからあなたと出会えた」
この言葉を受けてサクラバクシンオーは一瞬何かに気づいたような反応「……!」というを示し、その瞳から大粒の泪をこぼす。
ここです!ここなのですよ❗️文殊先生の真骨頂はこの“一瞬何かに気づく=「……!」”という細やかなリアクション。この1リアクションがあるかないかでサクラバクシンオーが涙するという名シーン、引いては第49話の旨みが雲泥の差となるのです。
第49話を伏線エピソードへと昇華したバクシンオーの細やかなリアクション

第49話「ライバル」でもサクラバクシンオーは自分の心境をうまく言語化できない状況をサクラローレルにアシストされました。
今回のエピソードもそれと同じアプローチがされたのですよ!
おそらくレース後のサクラバクシンオーは自分の気持ちを整理できていなかった。最高の勝負ができた喜び、これが最後の対決となる悲しみが入り混じり、どちらかと言えば2度と叶わない再戦への後悔の方が増していた。それ故に出てきた言葉が「1マイルは短すぎる」と言う文面。
ですが、ノースフライトのアンサーを受けて彼女の中で喜びと悲しみの奥底にある本当の気持ちが浮き彫りになった。巡り会えたことへの感謝。さらに深掘りするとクラシック王道路線を諦め短距離マイル路線を進んだサクラバクシンオーの過去の選択が、最高の出会いをもたらした。
彼女の大粒の涙にはこのような想いが秘められているように僕は受け止めました。
それを可能としたのが第49話にて披露された言語化能力が未成熟という過去の描写と第51話の細やかなリアクション「……!」。
文殊咲先生、お見事でした。
結びに

如何だったでしょうか?
今回は『ウマ娘プリティーダービー スターブロッサム』第51話「1マイル」について感想プレゼンを実施しました。
著者お二人の真髄・真骨頂に触れることができたエピソードであったと心より実感します。
史実に刻まれたノースフライトのラストラン。その着順を知っていたので場合によっては今回のエピソードを新鮮な気持ちで楽しむことは不可能かもしれない。そんな懸念もあったわけですが………杞憂でしたね。
たとえ史実を知っていようと感動と興奮が際限なく押し寄せてくる。史実と同じ結果でもその中身は独自性に溢れる代物。
重ね重ね著者お二人に感謝です。
それでは本プレゼンは以上。実に素晴らしいエピソードとの出会い。誠に感謝します。ご愛読いただきありがとうございました。またの機会にお会いしましょう。

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