【映画レビュー】密輸1970 感想

密輸1970 感想 映画

おはようございます😊ブログ管理人のあーさんです。

今回は2024年7月12日より公開の映画**密輸1970**を鑑賞して参りましたので、その感想レビュー記事となります。

海女・密輸王・チンピラ・税関

4つの勢力がバトルロイヤルするという異色の映画。実話を基にしているというので事実は小説よりも奇なりという言葉が脳裏によぎります。

私個人としては人生初めての韓国映画体験となるので、そういう意味でも未知数の作品。

結論から申しますとめちゃめちゃ面白かったです。

登場勢力全て悪と言っても良いのではないかと言えるほど善人がいません。どいつもこいつも私利私欲まみれで善悪よりも損得が大事!

これだけ悪が揃うとより悪に染まっている人物が目立ち、他が比較的まともに見えてくるから不思議。

全キャラ悪属性というか悪事に手を染めているキャラばかりですけど、悪人の中にも善性はある。そう随所に感じさせるシーンがチラホラあってグッと来ちゃいましたね。チュンジャをチンピラ&ヤクザ軍団から庇うクォン軍曹の姿は男の中の男でした!

駆け引きが渦巻きあう今作。悪事に手を染めた4つの勢力による争い。どこかに肩入れするとなると海女陣営に心が傾くように作られていますが、結局海女も犯罪行為をしてしまっているという事実に変わりはないのでどこか一つの勢力を応援するとかそんな気持ちは抱きませんでした。

故に4つの勢力がクライマックスで怒涛の潰し合いを起こす時、とてもフラットな視点で

「一体、どこが生き延びるんだ!?」

と、ワクワクしながら鑑賞することができました。

いや〜楽しい映画体験でしたね。ヒーロー映画だとヒーローに感情移入してヒーローがどう勝つかに焦点がよってしまう。その点今回の映画はそのような偏った見方ではなく新鮮な気持ちで最後まで鑑賞できて面白かったです。

前置きはこれくらいにして、具体的に良かったところをピックアップしていきましょう。

本作の主人公はこちらの2名。

チュンジャ(演:キム・ヘス)
4歳で家政婦生活を始めて以来、お金になること、自分の身を守れることならなんでもやってきた
数年ぶりにクンチョンに戻ってきて、密輸業界で勝負をかける提案をする

ジンスク(演:ヨム・ジョンア)

海の仕事に生涯を捧げると思いきや、 ひょんなことから密輸業界に足を踏み入れることになる海女たちのリーダー

密輸1970公式サイトより出展

この2人の関係性の変化が物語のキーとなります。

大まかな物語の流れ

  • 物語序盤
    • 工場の影響で海女の仕事が立ち行かなくなり、2人で密輸業に手を染める道を選ぶ。
    • 密輸業が軌道に乗り出し、船長に無断でより大きな案件を受け持つ
    • 密輸業の最中、税関が現れる。
    • 税関襲来に慌てて逃げる準備をする海女一同。しかし、焦りとトラブルが重なり船員1名と船長(ジンスクの父)が亡くなる事故が起きる。
    • 事故の混乱で逃げることすら出来なくった船に税関が押し寄せる。チュンジャのみ税関から逃げ、ジンスクは主犯として収監されてしまう。
    • ジンスクは唯一逃げ仰たチュンジャがタレコミしたのではと疑念を抱き、チュンジャへ怒りを募らせる
  • 物語中盤(序盤から数年後)
    • チュンジャは都会ソウルに居を移し、商売をしていた。
    • その商売で地元の縄張り争いに不和を生じさせてしまい密輸王クォン軍曹に追い詰められることとなる。
    • 追い詰められたチュンジャは数年前に行っていた海女による密輸ビジネスの話を持ちかけ密輸王に販路拡大の助け舟を提案することで命を奪われることを免れる
    • チュンジャは数年ぶりに港町クンチョンに帰還。クンチョンを縄張りとするチンピラ**ドリ**に船の手配を持ちかけ、海女仲間であるジンスクとも再開するがジンスクの中に募った怒りが爆発し再開早々殴り合いに突入。
    • チュンジャとの確執が解消されない限り密輸ビジネスに手を貸すことを拒むジンクスだが、他の海女の生活資金・入院資金の工面のために苦渋の決断としてチュンジャと共に密輸ビジネスをすることを承諾する。
    • 数年ぶりの密輸ビジネスは成功。海女・密輸王・チンピラ、それぞれ成功を祝うも多くの取り分を独占する密輸王の立場にチンピラは不満を募らせる。
    • 密輸王もチンピラへの不信感を抱いておりチンピラの素性調査をし、チンピラと税関との間に繋がりがあることが発覚。その写真を見たチュンジャはジンスクの元へ向かい2人の確執が溶ける。
  • 物語終盤
    • チュンジャとジンスクは自分たちが始めた密輸ビジネスを利用したチンピラと税関を叩きのめすための策に移る
    • チュンジャとジンスク、そしてもう1人の仲間オップンの3人で税関の施設にある記録ファイルを奪取する計画を実行し、決定的なタレコミの証拠を3人は入手する。
    • 時を同じくしてチンピラは地元のゴロつきを集め、密輸王の元へ強襲を仕掛ける。密輸王の元にいたチュンジャは巻き込まれる形になるも密輸王が全力で守ろうと奮闘したことで無傷で済む。
    • 密輸王を討ったチンピラどもは拠点へ戻るが殺しの後始末をしないという凡ミスによって警察沙汰に発展し警察に取り押さえられるという顛末を迎えるも、税関係長ジャンチュンの賄賂により取り調べ前に係長に身柄を預けられる展開に突入。
    • 係長は繋がりのあるチンピラの始末と自分の弱みを握っている海女らの始末のために密輸王が隠した宝石3億ウォンが眠るサメが徘徊する海へと全ての関係者を運ぶ
  • ここから先は劇場で

だいぶ割愛したけど、およその流れはこんな感じです。うろ覚えなので間違っていたらすみません🙏

物語の序盤で生まれたチュンジャとジンスクの溝が埋まるシーンはグッと来ました。

女同士のリアルな殴り合い

なんせ再会早々殴り合いした関係でしたから、2人の間にある溝というのは海よりも深いように感じた。
ここの殴り合い、非常に女と女の殴り合いという感じで何か重いのです。男同士だとこうはならない。お互いに殴ったら、殴り返すの繰り返し。決して避けない。避けようとするモーションすらしない。受けた上で必ずやり返すという恐ろしさがありました。

そんな2人の溝が一枚の写真がきっかけで修復に向かったのですからクォン軍曹のファインプレーですね。とうの密輸王はそんな気全くないのでしょうけど(笑)

密輸王クォン軍曹。

事業家の顔と、悪徳密輸業者の顔を併せ持つ全国区の密輸王
釜山を掌握したが、釜山港の取り締まりが強化され、 新規ルートを模索しているところでチュンジャと出会う

密輸1970 公式サイトより出典

作中屈指のイケメンです!

密輸に手を染めているということで勿論善人ではございません。

でも、彼の中には確かな善性があると私は感じました。

物語がクライマックスに突入するチンピラがゴロツキどもを携えて密輸王の元へ襲撃する一幕。
このシチュエーションにチュンジャも居合わせているのですが、密輸王が全力で彼女を守る行動をとります。

部屋の奥の部屋に隠してゴロツキどもの視界に入らないようにしたり、戦闘が激化して彼女が隠れた部屋にまで被害が拡大した時は彼女を守りリードして安全な場所に匿うという紳士なアクションをしています。

両者の間に恋愛感情があったかは謎です。

私はまだキスすらしていない関係だと思っているのですが、お互いに意識はしているのかな〜という風に捉えています。

クォン軍曹のアクションはどれもスピーディーで無駄がなく達人と呼べる代物だったのですが、彼の紳士的な行動の方が光って見えました。

クォン軍曹の生死

ネタバレとなってしまいますが、チンピラどもに数の暴力で劣勢となり身体をナイフで貫かれたクォン軍曹は死亡してしまったと勘違いしてしまいました。なんと、エンディング直前に病室で病院食を美味しそうに食べるクォン軍曹の姿が映し出されるのです。

このシーンを見て私はとても安心し喜んでしまった。

映画見る前はこのキャラに惚れ込むと思っていなかったのですが、あれほどの男気を見せられたのです。私は男ですが男女関係なく好きになってしまっても無理はないと思うのです。それくらいチュンジャを守る彼の姿は美しかった!

そして、病室で食事中の彼の元に現れるチュンジャ。

あっ、この2人の関係はこれからも続いていくんだなと暗示させる終わり方でずるいな〜と感じましたね。

結局、この2人が男女の仲なのか、それともただのビジネスパートナーなのかわからないようにしているあたりが憎い!考察が、妄想が加速するじゃないか!

本作は悪人だらけ。犯罪行為に手を染めている人だらけの映画。

その中でも一際邪悪でクズ野郎と言って差し支えないのが2名。

ドリ(演:パク・ジョンミン

チュンジャとジンスクを補佐し、将来への野望を持つ末っ子気質の若者

ジャンチュン(演:キム・ジョンス

検挙率100%に挑戦する税関係長
密輸が横行するにつれ能力が認められ、より一層取り締まりを強化するようになる

密輸1970 公式サイトより出典

こちらのお二人さん。吐き気を催す邪悪という奴でしたね。

野心と私欲に塗れた極悪人と言って問題ないでしょう!

ドリはタレコミした張本人で、その事実をずっと隠していた。しかも、港町を牛耳るためにチュンジャ&ジンスクに最初に密輸ビジネスを持ちかけた男を殺害するというクズっぷり。

係長は税関の代表キャラとして序盤は取り締まりに注力する善玉サイドの人間と思わせておいて、尾の語りが進むと金の欲に塗れた汚い男であることが判明し、賄賂も普通に行っている始末。

全ての始りとなる税関襲来のトリガーとなった2人。最終局面がチュンジャ&ジンスク率いる海女チームと税関係長&ドリのチンピラグループによる海中戦で文字通り命をかけた駆け引きが行われるのは面白かったです。

海中というロケーションを活かした緊迫感ある最終バトル

バトルというのはロケーションによって大きく味付けが左右されます。
今回のロケーションは🦈サメが徘徊する危険地帯となる海中。そこで装備はなし海女としての経験だけが頼りの海女チームと酸素ボンベやナイフなどの装備充実のチンピラが海中で縦横無尽にバトルする構図は他の映画でもなかなか見られない光景で新鮮かつユニークで素晴らしかったです。

基本的にゆったりした速度で動くしかないのでバトル描写にスピード感はないです。しかし、サメが迫り人を捕食するシーンだけ異様にスピーディーに描写されるので誰がこの戦場の王者なのか叩きつけられるような感覚になりました。

この最終バトルで2人の悪、ドリと係長は納得のいく末路を迎える。それがまぁ観ている側としては気持ちの良い展開でして。

2人の末路

まずは係長が先にリタイア!
係長は税関という圧倒的ポジション有利でチンピラも従え海女を追い詰めていました。そんな彼を討ったのはチュンジャ&ジンスクのもう1人の仲間オップン

オップン(演:コ・ミンシ

喫茶店のアルバイトからスタートして、 抜群のコミュ力でクンチョンの情報を知り尽くした人物

密輸1970 公式サイトより出典

船上で唯一にして圧倒的な武器となる猟銃を携え余裕綽々の係長はオップンにコーヒーでも淹れるように命じますが、窮鼠猫を噛むという諺の如く追い詰められたオップンは予想外の行動に移り係長に突進しそのまま海へと転落するという展開を引き起こす。

そのまま係長は海の底へ沈んでしまうというなんとも呆気ない最後。泳げなかったのかな?

オップンは泳げないと明言されており、周囲の海女によりレスキューされて無事生存します。

オップンはこの作品に登場する女性キャラの中で唯一ノット海女なキャラクター。海女のことだけ警戒していた係長の慢心が招いた結果で私はこの末路が好きです。彼に相応しい惨めな最後だと思います。

もう1人のクズ男ドリ。
この男は最後までしぶとく最後まで海女たちを追い詰め、自分だけ船を奪い逃げようとします。
しかし、彼のミスは海女をホームとも言える海中に送り込んだこと。1人だけ逃げるためとは言え海女を海中に自由な状態で放り込めばどうなるのか予想すべきだったのです。

最終局面における最終バトル海女VSドリ。海女は海へと追いやられますが、海中に潜り船の錨を岩に引っ掛かるように配置するという罠を仕掛けてドリが船で移動するのを妨害します。

船を出そうにもドリからすると原因不明のトラブルで前進できないでいるのでとにかく⚓️錨が外れるように錨と船を繋ぐ縄を船尾で引っ張る。ドリが船尾に拘束されている間に海女は船へと帰還しドリが不用心に放置していた猟銃を構えドリを追い詰め完全に立場が逆転する。

猟銃を構えるのはジンスク。彼のタレコミのせいで起きた不幸な事故により父を失い投獄までされた恨みを持っている。視聴者としては打つのか打たないのか気になるシーンで、実際に彼女も迷っている。そうこうしてこう着状態が続くと思いきや錨と船を繋ぐ縄が千切れる。千切れた反動で縄が船尾に帰ってくる動きをし、ドリに直撃しないものもドリは大きく体制を崩す。その状態の彼に追い討ちをかけるようにジュンジャが猟銃を取り上げドリ目掛けてスローし、ドリの脳天へヒット!ドリは船尾から海へと墜落。態度を改めて海女たちに救助を求めるも海女らは聞く耳を持たず船を出し去っていく。

ドリは必死に船に追いつこうとするもそんな彼の背後からサメの背鰭が迫ってきて・・・。

という具合です。

最後まで引き金を引かなったジンスクは立派だと思いますし、ジンスクが何もできずにいるところを猟銃を奪ってドリへと投げるジュンジャも一線を超える行為をしなかった。2人とも犯罪に手を染めているのは確かですけど、誰1人として直接的に命を奪うことはしなかったあたり2人の道徳心のようなものが伺えますね。決してドリや係長の領域に踏み込まないという意思のようなものがあると思いました。

終わりに

いや〜書いた書いた!

ここまでの文字数ざっと5900。

ここまで感想レビュー記事でタイピングしたのは初めてです。

割と細かく劇中の描写を文字起こししたのが原因なのですが、流石に書きすぎたと少し反省。

しかし、それだけ文字数を費やす価値がある傑作だったと思います。

悪人・犯罪者だらけの映画だからこそできる先の読めない展開。海よりも深い駆け引きが降り広げられ誰が生き延びるかわからないサスペンス。

初めての韓国映画体験で期待半分くらいでしたけど大当たりでしたね!

また食指がそそられる作品があれば韓国映画を見てみたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました