今回は2024年11月1日より劇場公開された映画『ヴェノム ザ・ラストダンス』を鑑賞してまいりましたのでその感想記事となります。
ヴェノムシリーズ第3弾にしてシリーズ3部作の締めくくりとなる作品。
率直な感想をリストアップしますと・・・
- 良いところとイマイチなところ。両方あるな・・・
- 一応キレイにまとまった
- 視覚的に派手だが、ストーリーは結構地味な作品
- 『ヴェノム』は完結してもエディの物語は『SSPU』へ続いていく?
といった具合です。
本記事では何が良かったのか・イマイチだったのか踏み込んでいこうと思います。
それでは行きましょう。
評価
まずは結論として作品の評価をジャッジします。
Rank:Bが普通判定ラインなのでそれよりも上ではあります。
悪くないです。酷評するラインは余裕で突破してくれています。ただシリーズの過去作と比較すると見劣りする面はあるかもしれない。過去2作の方が新鮮味や尖った魅力があったという意見も頷けるものがあります。
深掘り分析
本作品には確かな魅力があります。それがどれくらいあるのか。また、どれほど輝いているのか解説していきます。
作品を構成する魅力を探る3つの視点
私は映画が観客に訴えかけるものが大きく分けると3つの要素であると考えています。
感情。
視覚。
聴覚。
映画を通じてこの3つの感覚に何かしらの刺激を受けて作品への心象を固めていく。それが映画体験というもの。
本タイトルを鑑賞して視覚的にはかなり楽しめた!しかし、心に響くパワーがあったかと問われると首を傾げるところがあるので感情:エモーショナルの評価は控えめにB➖にさせていただきました。
予告編などのプロモーション活動で秘匿され続けてきたサプライズ要素。
シンビオートの性質を活用したバリエーション豊かな殺陣。
前作のラストから続くピンチ・ピンチの連続シチュエーション。
これらは作品を面白くする要素として機能していたように思います。
イマイチだったのは編集。必要なシーンがなかったり不必要なシーンが残されていたりと編集に関しては課題を感じました。結構致命的な課題です。編集さえ良ければもう少し評価を底上げできた可能性があるだけに惜しい。
【感想】映画に触れて・・・
さてここから先は具体的な映画の内容について触れいこうかと思います。
ネタバレとなる要素を含んでおりますのでご注意お願いします。
名場面2選
このシーンは作品を代表できる名場面じゃないかと感じた場面をピックアップしていきます。
エディ・ヴェノムの双方が活躍するクライマックスアクション
完全ヴェノム化すると敵に集中砲火を喰らうという圧倒的ディスアドバンテージを打破するためにバイクを駆り戦場を翔るエディ&ヴェノム。
適材適所で完全同化と触手を伸ばすだけを使い分けて敵を誘導していくアクションは危機感とエディの勇気・闘志が見事にブレンドされておりエキサイティングなシークエンス。
映画序盤で馬に乗って振り回されていたエディがバイクに跨り勇猛果敢に振る舞うというギャップも味わい深い。
素敵なサプライズ要素
こちらは予告編でも秘匿され続けていた製作陣の隠し球中の隠し球!
本作には色彩豊かで多様なシンビオート軍団が揃い踏みする名シーンが訪れます。
ぶっちゃけその揃ったシーンが最高到達点でそこから先は理不尽な敵の強さに善戦しつつもやられていくので勿体無いのですが、それでもシンビオートのチームが出来たと思わせるあの場面はアガる!
お気に入りシーン集3選
作品を代表するとまでは言い切れないですが個人的に好きなお気に入りシーンをチョイスしました。
チェンさんとヴェノムの愉快なダンスシーン
本作品で最も気楽に見れたお気に入りのシーン。あなた方、一体いつ打ち合わせして練習していたのかと問いただしたくなるレベルで初めてとは思えない高クオリティのダンスを披露してくれます。
エディも観客と同じ感情を抱いているようで、映画の人物と観客を心を重ねられる体験ができたというのも印象深い。
【水中・分離・特殊部隊】3拍子揃ったピンチシチュエーション
こちらも大好きな場面。
特殊部隊の音波攻撃でエディとヴェノムが分離させられ、川へと落水し水中用の特殊装備を備えた敵部隊に襲撃を受けるかなりピンチな状況。
この手に汗握る展開は見ていて心が昂ります!
一体どうやって切り抜けるのかと思考を巡らせていくが、ヴェノムがネットに囚われてさらに儒教が悪化。状況が刻一刻と変化していって観客の立場では正解を導き出す余裕がない。
観客としての自分が答えを出せていない中、作中の登場人物が機転を効かせて突破口を開いていく展開も出し抜かれようで気分が良い!
ロードムービーならではの縁
本作品はロードムービーらしさのある展開も魅力の一つ。
ロード=旅なのだから不思議な出会いがあっても不思議ではない。
たまたまエディが出会ったエイリアン大好きファミリーとの道中は本作品にひと時の安らぎをもたらしてくれた。
少々意識高い(精進料理愛好?)感じがある家族だがいい人ばかり。そんな中一人息子の少年はチョコレートを隠し持っているというのもなんともリアル。そして、そのチョコレートをエディに渡す優しさが心に染みるというもの。
不満点
良い点については語ったのでイマイチだった点も書き記しておきます。
この辺はSSPU次第で評価を改める余地があるのがまだ救いがあります。
敵の味付けは薄い。なのに強すぎる
今作の敵さんエイリアン。
外見の凶暴さに違わない凶悪な性能の持ち主。再生能力の異常な高さ。凶暴な口で一飲みするだけで人もシンビオートも一発KOの性質の悪さ。敵にしたくない要素しかない。
正直もう一つ手心を加えて突破口を用意しておいて欲しかった。
何よりキャラクター性の欠片もないのでただただ厄介な敵役に収まってしまっているのも困る点。敵として心理的な魅力を抱けない造形でした。
SSPU!この2名はこのまま放置しちゃダメだよ
こちらのお二方。敵の親玉ヌルとシンビオートを研究するドクター。それなりに印象に残る出番をもらっているが好印象を残すことには至らなかった。
ヌルに関しては仕方ない。SSPU=ソニースパイダーマンユニバースの今後に携わっていく運命を背負ったキャラクターなのだと納得しましょう。
しかし、ドクター。
あなたは過去も描写され、ラストにスーパーパワー(正直ヴェノムよりも強そう)を手に入れて出番がそれっきり。今作で結構な尺を頂いたキャラクターの割にエディとヴェノムの物語に影響を与えていないのは問題でしょう。
どうかSSPU。このままドクターの出番を閉じないようにお願いします。見事な采配で『ヴェノム ラストダンス』のドクター描写は無駄ではなかったと証明して頂きたく存じます・・・
【結末】綺麗に締めているが求めていたのと異なるフィナーレ
本作品のラストバトルでエディとヴェノムが辿りついた終着点について。
本作のラストでエディとヴェノムは完全に分離。敵エイリアンを纏ったヴェノムが酸性液体を浴びることで心中するという形でラストバトルは決着。
かの名作映画『ET』を彷彿とさせる構図はずるいですね。しかし、戦闘自体は薄味でカタルシスには欠ける印象。
ラストバトル後、エディは軍のお偉いさんとの会話でこれまでのことを口外しない条件付きで元の生活に戻る運びとなる。
エディはヴェノムとの日々を忘れないと言い残し映画はエンドクレジットに突入。
正直私はこの流れを見て驚愕した。ここで終わりなのか?お別れENDなのか!?・・・と消化不良な感覚を味わいました。
【予想】続編の可能性 エディの物語はSSPUへ続く?
エンドクレジットを座して待機していて良かった!
本編は終わったが「ポストクレジットシーン」が挿入されてきたのです。
たぶん観客に完全に忘れられていたOPのバーテンダーのその後が描写される。軍に拘束されるという不憫な扱いを受けた彼がエリア51に姿を現す。おそらく地下施設エリア55に収容されていたのかな。
その後、シンビオートとエイリアンとの決戦跡地となって誰も生きられない不毛の地と成り果てたエリア51にもう一つ生命の影が姿を見せる。
生存力地球最強の生物=G。
そのGの近くにシンビオート?と思わせる何かがチラッと顔を覗かせる。
これはそういうことだよね?SSPU!
生存力地球最強の生物=Gの存在もちゃんと伏線を用意していたし、そういうことだと信じていいんだよね!
余談:予習は必須?
本作品はヴェノムシリーズの第3弾に位置します。過去作を履修しておかないと作品を楽しめないのか否か気になる方向けに私の見解を述べていきます。
『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』だけでも予習推奨
本タイトルの関連作は3つ。
- ヴェノム
- ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ
- スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム
理想は3タイトル全て見ておくこと。ただノーウェイホームを見るためにはエンドゲームも見て欲しいし、エンドゲームを見るためにはMCUフェーズ3までのラインナップ20作品以上に目を通して欲しい・・・と新規に無茶振りする羽目になる。
なので、最低限1タイトルに絞りなら前作の『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』だけでOKだと私が具申します。
結構過去の出来事が関係している作品なのでいきなりラストダンスよりかは予習して知識武装をお勧めします。
私は割と朧げな記憶を頼りに今作を見ましたが、十分に楽しめたけど予習しておけば良かったと思う場面もちらほらあったので。時間に余裕がある方は前作だけでも見ておくと良いです。
予備知識なしで見てはNGではないのでいきなり本作品からチャレンジだ!という猛者も作品はウェルカムです。
終わりに
今回は『ヴェノム ザ・ラストダンス』をレビューしました。
視覚的に楽しませてくれる要素は好印象です。反面、心へ訴えかけるパンチには不足していた要素はあったかな〜と感じました。
ストーリーの薄味感は敵とエディとの因縁の薄さがモロに反映された。
シンビオートも善性を強く強調されていて過去作とのチグハグ感が否めない。
ドクター周辺の物語もエディとヴェノムに影響を与えないし必要性が薄かった。
・・・という具合で微妙な評価をせざるを得ない部分は多々あります。
しかしエディの物語がここで終わると決まったわけでもない!今作の評価を覆すチャンスは残されている!
ポストクレジットシーンで描写された映像を信じて!SSPUの今後を信じて!期待を胸に宿し続けていきたいと思います。
それでは今回のレビューは以上となります。ありがとうございました。
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